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前店の顧客を取り込める可能性がある

前店の顧客を取り込める可能性がある

一般に、居抜き店舗は前の経営者が失敗して手放すお店である。

もちろん、ひと口に失敗といってもいろいろなケースがあるわけで、三〇〇〇店以上を指導してきた私の経験からいわせてもらえば、ちょっとやり方を変えていれば再建できたというケースは少なくない。あるほどだ。まったくお客様が入らなかったというのは、むしろ稀なケースといえるだろう。

また、これも数は少ないものの、別に経営に失敗したわけではないというケースもある。たとえば、経営者が高齢で引退したとか、病気にかかってしまって泣く泣くお店を閉めた、といったケースである。経営者本人は元気なのに、長年のビジネスパートナーだった奥さんが思い病気になったり亡くなってしまったために、やる気を失ったというケースもある。

このように、居抜き店舗が売りに出されるのにはいろいろなケースが考えられるわけだが、ここで大事なポイントは、大半の場合、そのお店についていたお客様がそれなりにいたということだ。では、それらのお客様は、お店がなくなってしまってどうしたのだろうか。外食が毎日の生活に溶け込んでいるいまの時代、そのお店がなくなったら外食はしないということは考えにくい。ほかのお店に行くようになつたと考えるのが妥当だろう。

ところで、いまは飲食店などいくらでもある時代だ。あなたなら、 一店くらいなくなったところで影響はないと思うだろうか。もしも本気でそう思っているのなら、すぐに考えを改めたほうがいい。お客様というのは意外と情緒的というか、「自分のお店」意識というのをけっこう強く持っているものなのだ。

また、その「場所」にあつたから利用していたという人もいるはずである。とくにポピュラープライスのお店では、お客様の利用動機は日常的で気軽な場合が多い。遠くまでわざわざ出かける気はしないけれども、近所だからとか駅に近いからなど、利便性があるから利用するというケースである。

このように、前のお店がなくなってしまつたために不便さや不満を感じているお客様は必ずいるものだ。したがつて、居抜き店舗でオープンすると、それら前のお店のお客様をかなり取り込める可能性がある。とくに「場所」を重視していたお客様の場合、オープンしたお店が彼らのニーズと合致したお店づくりであれば、何の違和感もなく「戻ってきてくれる」可能性大なのである。

居抜き店舗についているのはお店の造作だけでなく、いわば「お客様付き店舗」でもあるわけだ。

著者紹介:宇井 義行
コロンブスのたまご 創業者・オーナー

学業のかたわら、18歳から飲食店で働きながら実践的な飲食業を学び、23~25歳で6店舗の飲食店経営を手掛け、超繁盛化。赤字店の1ヶ月での黒字化など奇跡を起こし注目を集める。 26歳の時、実践的な「飲食コンサルタント」として独立。個性的な店、地域一番店を目指し、情熱ある現場直接指導に力を注ぎ、 全国の飲食店3000店舗以上を指導。指導歴日本一のフードコンサルタントとして数多くの難問を解決。不振店を繁盛店へと生まれ変わらせる手腕は業界屈指のリーダーとして国内外で高く評価されている。