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居抜き店舗の活用は社会的にも貢献する

居抜き店舗の活用は社会的にも貢献する

飲食店ビジネスには、さまざまな業界が密接に関わっている。

まず、自分のコンセプトを実現しやすい店舗物件を探すには不動産業者の協力が必要だし、店舗の内外装では設計施工業者の手を借りなければならない。付加価値の高い商品づくりでは、食材納入業者との連携が不可欠である。

ただ、これら関連業界は、昨今の不況で大きな打撃を受けている。外食マーケットそのものが縮小傾向にあるうえ、個店の新規出店が減っているためだ。また、かりに受注できたとしても、値下げ競争が激しくなっているため、利幅は非常に薄い。

飲食店ビジネスは、自店だけで成り立つものではない。さまざまな関連業界と共存共栄の関係にあるわけだ。逆にいえば、関連業界が衰退していけば、必然的に飲食業界も衰退してしまうということだ。個店の経営者はあまりこういうことを考えない傾向があるが、関連業界とのつながり、パートナーシップを大切にするということは、実は非常に重要なテーマなのである。

さて、飲食店の開業希望者の要望を聞くと、居抜き店舗は通常、新店舗に比べてはるかに人気がない。その理由は別項で述べたが、大きなところでは、前の経営者が失敗した店舗だからとか、自分の思い通りのお店ができないといった理由が挙げられる。しかし、前の経営者が失敗したことと、自分が成功できるかどうかの間には、直接の関係はない。問題は、その物件の立地条件とその条件の生かし方、つまりお店づくりの方法論にある。成功できるかどうかは、どんなお店をつくれるかどうかで決まることだ。

また、たしかに居抜き店舗は造作(内装や設備機器類、什器備品類)がひと揃い揃っている店舗だが、それらをそのまま使わなければならないという決まりなどどこにもない。というより、その造作を生かしながら、なおかつ新しいお店がオープンしたことを明快に主張できるお店につくり変えるのが、もっとも上手な活用の仕方である。

そして、新店舗では資金的に無理な人でも、居抜き店舗なら手が届く。つまり、新規オープンのチャンスが増える。そうして居抜き店舗でお店をオープンすることが、関連業界に仕事を生み出すことになり、ひいては飲食店ビジネスを盛り上げていくことになるわけだ。いま全国には一七万件以上の居抜き店舗があるが、それはそのまま、その数だけ大きなチヤンスがあるということだ。

一方、新しいお店ができるということは、消費者にとっては選択肢が増えるということであり、それがいいお店であれば、他の地域に流れてしまつていたニーズをその地域に取り戻すきっかけにもなる。これも立派な社会的貢献である。また、地元に住む人たちのパート・アルバイト先としての貢献も特筆しておきたい。

著者紹介:宇井 義行
コロンブスのたまご 創業者・オーナー

学業のかたわら、18歳から飲食店で働きながら実践的な飲食業を学び、23~25歳で6店舗の飲食店経営を手掛け、超繁盛化。赤字店の1ヶ月での黒字化など奇跡を起こし注目を集める。 26歳の時、実践的な「飲食コンサルタント」として独立。個性的な店、地域一番店を目指し、情熱ある現場直接指導に力を注ぎ、 全国の飲食店3000店舗以上を指導。指導歴日本一のフードコンサルタントとして数多くの難問を解決。不振店を繁盛店へと生まれ変わらせる手腕は業界屈指のリーダーとして国内外で高く評価されている。