厨房や空調関係の設備機器類は高額のものが少なくない。そのため、初期投資額を抑える方法として、リース制度を活用するケースがけっこうある。リースにすると、現金で買う場合に比べて金利分が上乗せされるが、五年なら五年間の均等支払いになり、毎月の支払額は小さい。
しかも、減価償却する必要がないうえに、毎月の支払額が全額、損金として計上できるから、税務面から見ても合理的な方法といえる。また、開業資金が思うように集められなかった場合、どうしても必要なら高い金利の融資も利用しなければならなくなるが、その場合も、リースの金利のほうが有利になったりもする。リース制度には、金融的な役割もあるわけだ。
また、設備機器類には当然、保証期間があるが、リースの場合は販売に比べて、この保証態勢もしっかりしていることが多い。販売では、売ってしまえば後は知らんぷりなどということもあり得ないことではないが、リースではメーカー(代理店)もそうはいかない。少なくとも全額支払ってもらえるまでは、顧客(お店)との良好な関係を継続しなければならないからである。したがって、故障した場合はのがぶつうである。
さて、居抜き店舗の設備機器類がリース契約の場合、その設備機器類の持ち主はリース業者であって、お店ではない。簡単にいえば、業者から借りているだけである。居抜きは設備機器もすべて「買い取る」というイメージが強いが、それは前の経営者が設備機器類を買っていた場合である。それに対してリースの場合は、リースしてもらう権利を譲り受けるだけなのだ。
まず、このことをしっかりと認識しておくことが大切だ。なぜなら、もしも契約に違反した場合、その機器類を使用することができないという事態も起こり得るからである。たとえば、前の経営者がリース代金をきちんと支払っていなかったというケース。その設備機器類を使用するには、その不払い分を支払わなければならないわけだが、確認をきちんと取っていないと、前の経営者に逃げられてしまうということにもなりかねない。いずれにしろ、契約は契約である。前の経営者が結んだこととはいえ、業者もビジネスだ。どんなところでこちらの不利になるような契約になっ
設備機器類は、もしも前の経営者から「安く」買い取るのならトクであつても、リースの場合はそうとも限らない。どうせリース代金を払うのなら、最初から新しいものを入れたほうがいいということだってあるのだ。リース契約になっているのかどうか。もしもリースならどんな契約内容になっているのか。後々イヤな思いをしないために、仲介する不動産業者を通して、きっちりと確認することを忘れてはいけない。