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厨房設備を徹底チェックする

厨房設備を徹底チェックする

居抜き店舗とは、前に営業していた店舗を、そっくりそのまま譲り受ける契約の店舗のことである。厨房設備などの設備機器類からイスやテーブルなどの什器備品まで、お店の営業用に必要なものは一応、ひと通り揃っているわけだ。だからこそ、借りる際には保証金のほかに、それら設備類や内装の譲渡代金を支払うのである。

お金を払っているのだから、譲渡されたものは基本的にすべて活用できなければ意味がない。もちろん、その場所がほしいためにあえて居抜き店舗を借りたが、内装その他の設備は自分で一新する、という考え方の経営者もいる。それはそれで正しいビジネスのやり方といえる。

しかし、通常、居抜き店舗を借りる場合は、できるだけ従来のものを生かして投資額を抑えなければならない。お金をかけないでオープンするために、居抜き店舗を借りるのだから。のまま、手を加えずに使えなければおかしいということになる。余計な損をしないために、このチェックは念入りにしなければならない。

まずは厨房設備類のチェックである。

営業に必要な厨房設備類の種類は、お店の業種業態や店舗規模にもよるが、いずれにしろ、厨房設備は意外と金額が張るものが多い。たとえば冷凍冷蔵庫にしても業務用のものは、家庭の感覚とはひとケタ金額が違うといっても大袈裟ではない。調理師など厨房設備に関する知識や経験のある人なら常識だろうが、素人の場合、新品だとそんなに高い買い物なのかと驚いてしまうことも少なくない。

そこで、物件の賃貸契約の前に重点チェックに入るわけだが、チェックのポイントは大きく次の三つに分けられる。

・設備機器類が正常に作動するかどうか
・必要な設備機器類なのかどうか
・厨房に別の機器類を入れるスペースがあるかどうか

すべての設備機器類を実際に使ってみて、作動状況を確かめる。冷蔵庫などスイッチを入れるものは入れて、ちゃんと設定温度になるか確認する。ガス台やオーブン、グリラーなどは火力もきちんと確かめることが大切だ。したがって、ちょっとスイッチをひねってみるだけでは、十分なチェツクはできないということを指摘しておく。

こうした厨房設備機器類は、最初から酷使されることを前提に製造されており、通常は簡単に故障するようなつくりにはなっていないものだが、機械には当たり外れがつきものだし、前の使用者の使い方が荒いとかメンテナンスがいい加減だったといったことから故障していることもあり得る。前の経営者がかなり以前に撤退していて、長期間にわたって放置されていたために、調子がおかしくなっていることもある。

また、居抜き店舗といっても、その営業年数はいろいろだ。設備機器によっては、そのお店のオープン時から使われていたものもあれば、後から買ったものもある。いまはとりあえず使えていても、あまりに古いものの場合は、近い将来に故障することも考えられるから、その辺もしっかり判断しなければ、かえって高くついてしまうことがあるから注意したい。

厨房機器類も重要なポイントである。居抜き店舗でオープンするといっても、前のお店とまったく同じ業種業態とは限らない。というより、居抜きで成功するには、前のお店との違いをアピールしなければいけない。となると、必要な厨房機器類も変わってきて当然だ。多少のことは目をつむるとしても、あまりに不要な機器類が多いとなると、これもムダな投資になってしまう。どんな業種業態のお店をオープンするのか。その輪郭だけでも決めてから検討すべきである。

また、自分やりたい業種業態では、いまある以外にどうしても必要な機器類が出てくることもある。オープン時では無理としても、そのうち軌道に乗ったら買いたいというケースもあるだろう。したがって、将来の計画とは絶対に切り離せない。厨房機器類というのは、設置しようとすると意外と場所を取るものだ。そのためのスペースが確保できるのかどうか。慎重に検討しなければならない。

著者紹介:宇井 義行
コロンブスのたまご 創業者・オーナー

学業のかたわら、18歳から飲食店で働きながら実践的な飲食業を学び、23~25歳で6店舗の飲食店経営を手掛け、超繁盛化。赤字店の1ヶ月での黒字化など奇跡を起こし注目を集める。 26歳の時、実践的な「飲食コンサルタント」として独立。個性的な店、地域一番店を目指し、情熱ある現場直接指導に力を注ぎ、 全国の飲食店3000店舗以上を指導。指導歴日本一のフードコンサルタントとして数多くの難問を解決。不振店を繁盛店へと生まれ変わらせる手腕は業界屈指のリーダーとして国内外で高く評価されている。