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事業計画書のつくり方

事業計画書のつくり方

一般に、飲食店オープンの事業計画書は、金融機関から融資を受けるために必要なもの、と理解されているフシがある。たしかに、金融機関から融資を受けるためには、事業計画書を提出して審査を受けなければならない。

しかし、実は事業計画書は、借金のツールのためだけに作成すべきものなのではない。なぜなら事業計画書とは、これからオープンするお店の経営を想定した青写真だからである。いくら投資してどんなお店をつくり、そのお店でどれだけ利益を上げられるか。その見通しを具体的にまとめたもの、それが事業計画書なのだ。

もちろん、事業計画書をきちんと作成しなくても、お金さえあればお店をオープンさせることはできる。しかし、「水商売」が通用した昔はともかく、競争のシビアないまの時代、いくら小さなお店であっても、しっかりとした利益計画なしに開業するというのは、無謀以外の何ものでもない。かりにうまくいったとしても、それはたんなるフロックである。結果オーライの水商売感覚だ。そんなリスクだらけのことにお金を注ぎ込むなど、もはや投資とはいえないのである。

事業計画書のまとめ方に決まった書式があるわけではないが、綿密な数字の裏づけがなければ、計画としての意味はない。経営はどこまでいっても数字なのである。このことを肝に銘じてほしい。

画像の基本のフオーマットに沿って、作成のポイントを説明する。

まず、最初に作成するのは、オープンするお店の営業方針と将来性の見通し、そして資金調達計画(借入計画と返済計画)である。営業方針と将来の見通しでは、立地調査の結果をもとに、お店のコンセプトと市場調査に基づく見通し、そして将来性の見込みについて簡潔な文章でまとめればいい。ただし、あまりに希望的な観測では、数字の信憑性がなくなってしまうので注意しておく。これは事業の計画である。客観的な確実性が何よりも大切なポイントだ。

借入計画でもっとも大事なことは、総投資額に対して、どれだけの借入金を必要とするかという点だ。必要資金額と自己資金額を明確にして借入金額を決定するわけだが、肝心なのは、本当に必要な資金を間違いなく確保することなのである。

そのためには、オープン資金の見積もりでできるだけ正確を期すことである。だいたいこれくらいといった丼勘定の見積もりは、後になつて必ず、思わぬ計算違いのトラブルを引き起こすことになる。

なお、借入をするには当然、返済計画が前提となるが、飲食店の場合、五年間程度の中期事業計画とするのが一般的である。五年間というのは、飲食店の減価償却期間の平均が概ね五〜七年ということに基づいている。したがつて、五年間を超える長期返済や、返済期間を短くするために毎月の元金返済額を無理に大きくしたりするのは非常に危険ということになる。実際問題として、そういうビジネスの常識をわきまえないような計画書では、金融機関は相手にしてくれないはずだ。

著者紹介:宇井 義行
コロンブスのたまご 創業者・オーナー

学業のかたわら、18歳から飲食店で働きながら実践的な飲食業を学び、23~25歳で6店舗の飲食店経営を手掛け、超繁盛化。赤字店の1ヶ月での黒字化など奇跡を起こし注目を集める。 26歳の時、実践的な「飲食コンサルタント」として独立。個性的な店、地域一番店を目指し、情熱ある現場直接指導に力を注ぎ、 全国の飲食店3000店舗以上を指導。指導歴日本一のフードコンサルタントとして数多くの難問を解決。不振店を繁盛店へと生まれ変わらせる手腕は業界屈指のリーダーとして国内外で高く評価されている。