スタッフの募集ではまず、 100パーセント確実な募集方法はないということを頭に置いておこう。なんとなく簡単に集まるという期待があるから、なかなか決まらないとイライラしたりする。スタッフ探しが大変なのは、どこのお店も同じである。かなり名前が通っているお店でも、しゅっちゅう募集広告を出しているケースがあるが、現実はそんなものなのだ。甘い期待はしないことである。
しかし、スタッフがいなければお客様を迎えることができない。 一般に、お店のオープン準備というと、店舗関係の準備ばかりに頭が行ってしまいがちだが、いくら店舗が完成しても、スタッフがいなければ話にならない。飲食店の付加価値は商品、サービス、雰囲気の総合力で決まるが、そのうち商品とサービスは通常、スタッフの助けがなければきちんと提供することができないのである。
そこで大切になるのが、スタッフ募集は早めにしておくということだ。オープン当日にスタッフ全員が一応の戦力になっているためには、最低でもオープン予定日の三〜五日前にはトレーニングを開始しなければならない。そこから逆算すれば、いつ頃から募集を始めなければならないのか、おのずと計算できるはずだ。ただし、 一回の募集で決まることもあれば、二回、三回と募集をかけなければならないこともあり得るということを忘れてはいけない。
しかし、効果のある募集の仕方というものはある。それは、どんなお店がどんな人を求めているかということを、明確にアピールするということだ。
たとえば、よく見かける募集広告は、店名と職種、勤務時間、時給などの給与、それに交通費支給の有無程度を書いたものだが、これを見て本当に働きたいと思う人がどれほどいるだろうか。似たような広告はほかにいくらでもあるわけだし、通勤が楽とか、自分の好きな繁華街にあるとか、応募の動機はせいぜいそんな程度でしかない。だから、応募してくる確率も低いし、採用できたとしても定着率が悪かったりする。
だから、募集広告には当店がどんなお店で、どんな人材を必要としているのかをわかりやすく表現する必要があるわけだ。応募する人たちも、働けるのならどんなお店でもいいとは思っていない。たとえば、同じウエートレスの仕事でも、できれば楽しく働きがいを持って働けるお店に勤めたいと思っているものだ。当たり前のことである。
一般に、飲食店の経営者は、そういった配慮が足りないことが多い。要するに、たんなる員数合わせの発想なのだ。そして、辞めたらまた募集すればいいとさえ考えている。だから、募集広告の内容も機械的になってしまうのである。効果的な募集をしたいのなら、ここのところをよく考えることである。
募集の媒体は求人専門誌や新聞、ミニコミ紙などが中心になるが、駅などの掲示板も利用してみる価値はある。また、店舗の内装工事期間中に、店頭に募集の張り紙を出しておくのもいい。後々のことを考えると、スタッフはできれば近所に住んでいる人がもっとも理想的だ。住まいが近所なら、別のスタッフが急病など場合に何かと無理も聞いてもらいやすいということがある。
ところで、スタッフは員数合わせの発想では集まらないといつたが、たんなる労働力ではないということは、しっかりと認識しておく必要がある。お店のコンセプトをつくるのはあなただが、そのコンセプトを実際に表現し、お客様の支持を取りつけていく力になるのは、ほかならぬスタッフなのだ。
その意味でも、どういう人なら自店のスタッフとしてやっていけるのか、募集する前にその条件を明確にしておかなければいけない。繰り返すが、どんな人に来てもらいたいのかがはっきりしているからこそ、面接時に客観的評価ができるのだ。そして、この人ならと判断したら、時給を多少高くしてでも確保すべきである。
なお、パート・アルバイトの場合は、未成年者はもちろんのこと、主婦のパートであっても、必ず家族の了解を取りつけておくこと。家族の承諾がなかったばかりに、つまらないトラブルに巻き込まれるということもあるから、注意が必要だ。
また、小さな個店では調理師を雇うことはあまりないと思うが、もしも雇うのであれば、そのキャリアだけで判断してはいけない。大切なのは自店の規模やメニュー内容に合う仕事をしてきた人かどうかということなのだ。また、これまで何店も職場を変わっている、つまり一店で長続きしていない人も注意したほうがいい。
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