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改装のポイント(6) -トイレ-

改装のポイント(6) -トイレ-

いま飲食業界でもっとも遅れているのがトイレの考え方である。ここ一〇年ほど、トイレの重要性に気づいて改善するケースはかなり増えてきてはいるが、それでも、まだまだである。とくに小規模の個店の場合、残念ながら大半のお店が、大いに問題ありといわなければならないというのが現状だ。

では何が問題なのかというと、清潔感に乏しいことだ。はっきりいつて「汚い」としかいいようのないお店も少なくない。そこそこ掃除はしているのだろうが、汚さが染みついてしまっているから、ちょつとやそっとのことではきれいにならない。長年営業しているお店だと、悪臭もひどいということになる。

どうしてこんなことになるのか。要するに、トイレなどお店の「付け足し」と思っているからだ。ないと不便だろうから用意してやっている。汚いトイレからは、そういう不遜な姿勢すら見えてくる。そして、だれがそう見るのかといえばお客様である。お客様に平気で悪い印象を与えているのである。

いまは家庭内のトイレもかなリレベルが高くなっている時代だ。しかも、時代の空気ははっきりと、「清潔感」を非常に大事にする方向に向かっている。かつては汚いトイレの代名詞だった駅のトイレですら改善が進んでいるのである。そんななかで、飲食店だけが時代に乗り遅れているわけだ。

しかt 一方で、時代の変化をしっかりと読み取っている飲食店は、「きれいなトイレ」からさらに一歩進んで「化粧室」という位置づけで取り組むようになっている。女性客は食事の前後にトイレを使うことが多いが、それは化粧直しの意味合いも濃い。とくに口元の気になる食後はそうだろう。そんな時、広くなくてもいいから落ち着いて化粧を整えることのできるスペースがあれば、喜ばれること間違いない。

ただ、居抜き店舗の場合、店内の大改装を行うわけにはいかないから、化粧室といっても、おのずと限界はある。それは確かだ。しかし、化粧室を別に取るスペースの余裕はなくても、トイレの改善ならできる。できるというより、しなければならない課題である。

客室フロアは、多少の汚れがあってもカバーすることができる。しかし、トイレの汚れだけはごまかすことができない。そして、お客様はトイレの清潔感に対して非常に敏感だ。これからの飲食店は、女性客にどれだけ支持されるかで成功が決まるが、とくに女性客にとっては、トイレはお店の評価の大きな比重を占める要素である。お座なりにしていいはずがない。

トイレの改装といっても、水回りの工事が伴わなければそれほど大きな投資にはならない。予算が足りなければ、客席フロアの内装工事を一部縮小してでもやるべきだ。それだけの価値がトイレにはある。

著者紹介:宇井 義行
コロンブスのたまご 創業者・オーナー

学業のかたわら、18歳から飲食店で働きながら実践的な飲食業を学び、23~25歳で6店舗の飲食店経営を手掛け、超繁盛化。赤字店の1ヶ月での黒字化など奇跡を起こし注目を集める。 26歳の時、実践的な「飲食コンサルタント」として独立。個性的な店、地域一番店を目指し、情熱ある現場直接指導に力を注ぎ、 全国の飲食店3000店舗以上を指導。指導歴日本一のフードコンサルタントとして数多くの難問を解決。不振店を繁盛店へと生まれ変わらせる手腕は業界屈指のリーダーとして国内外で高く評価されている。