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飲食店・営業時間と休日の決め方

飲食店・営業時間と休日の決め方

最初にいっておきたいのは、営業時間とは本来、自店のコンセプトによって決めるものだということだ。そういってピンとこない人は、コンセプトと業態についての項をもう一度読んでほしい。

コンセプトとは、自店をどのように利用もらうのかという基本方針である。お店づくりでは、まず自店ではお客様にどのように過ごしてもらいたいのかを考え、商品、サービス、雰囲気を決定していく。

その提案が明確だからこそ、お客様の確実な支持を受けることができるのだ。業態とは、そのコンセプトを具体化するための考え方だが、その基本は、いつ、だれに、何を、いくらで、どのように売るのか、である。(以下記事5W2H参照)

これでわかるように、いつ売るか、つまり自店の営業時間とは、コンセプト・業態によって決定されるべきことである。ターゲットとする客層と利用動機、それに基づく商品構成や価格、提供方法、雰囲気づくり。それらトータルなコンセプトの組み立ての中でおのずと決まってくるものなのである。

一般に飲食店の営業時間は、業種業態によってほぼ同じ時間帯に設定されている。要するに経験則である。飲食ニーズはほとんどの場合、発生する時間帯がある程度の幅の中で決まっている。ということは、その時間帯以外の時間に営業していてもお客様を期待できず、ロスやムダが出てしまう。だから、確実そうなところで営業時間を決める。これが一般的な決め方である。

たしかに、この考え方にも一理ある。というより、たいていの場合はそれで大きな間違いは起こらないものだ。しかし、日につく間違いがなければ正解なのかというと、そうではない。営業時間外にもニーズが発生している場合がよくあるからだ。

たとえば、ランチタイムからデイナータイムまでの午後の時間帯をアイドルタイムという。食事のニーズが発生しない暇な時間帯だからということで、大半の飲食店はクローズしてしまう。しかし、この時間帯も通しの営業としてお店を閉じず、かなりのお客様を呼び込んでいる事例も少なくない。これは夜の営業でもいえることだ。他店が一一時に閉めてしまっても、さらに二時間、三時間遅くまで営業して成功しているお店もある。

このように、飲食ニーズと営業時間の関係は必ずしも固定的に決まつているものではない。もしもニーズがあるのに営業をやめてしまうのは、実にもつたいないことだ。

では、どう決めればいいのか。答えは立地特性を見極めるということだ。 一般論などこの際関係ない。

自店の立地では自店のユーズはどの時間帯にどのくらい発生するものなのか。それをきっちりと調査すればいいのである。立地調査は店舗物件を決める時に行うが、その時、ニーズということをしつかりと頭に置いておくことが大切だ。

立地調査では、どんな人たち(性別、年齢別など)がどの時間帯に集中するのかを探るわけだが、この時、自店のコンセプトという前提で調査すること。 一般に、店前通行量というと、通行する人数が問題にされがちだが、お客様にならない人たちがいくら通っても意味がない。

この調査の結果、もっとも効率のいい時間帯を営業時間として設定するが、ここで注意しなければならないのは閉店時間である。なぜなら、お客様は入ってすぐに閉店するようなお店は利用しないからだ。

だから、お客様の入りがある程度見込める時間帯に一時間プラスして設定するといい。なお、立地調査では、平日、土曜、休日の三日間は調査して、曜日ごとの傾向もつかんでおくことだ。

次に休日だが、これもまた立地特性によつて変わってくる。たとえば、オフイス街のように、土曜日の午後と休日はまつたく商売にならない立地もある。いずれにしろ、営業時間と同様に立地調査の結果で決めることになる。

ところで、商店街などの場合、水曜日とか土曜日にいっせいに休むという場合がある。週のうちもっともニーズが少ない日というのが理由で、これもまた経験則といえる。しかし、ニーズが少ない日といっても、 一店だけなら十分に成り立つということもある。それなら、あえて競合店の休日に営業してもいい。ここは柔軟に考えることだ。

ただ、営業時間にしろ休日にしろ、無理をするのはよくない。営業時間を決め、定休日として休む分にはお客様を裏切ることにはならないのだ。無理を続ければ必ず、どこかにヒズミが出る。それよりも、週に一日は休みを取ってリフレツシュし、いつも新鮮な気持ちで営業することだ。飲食業は長続きしてこそのビジネスなのである。

著者紹介:宇井 義行
コロンブスのたまご 創業者・オーナー

学業のかたわら、18歳から飲食店で働きながら実践的な飲食業を学び、23~25歳で6店舗の飲食店経営を手掛け、超繁盛化。赤字店の1ヶ月での黒字化など奇跡を起こし注目を集める。 26歳の時、実践的な「飲食コンサルタント」として独立。個性的な店、地域一番店を目指し、情熱ある現場直接指導に力を注ぎ、 全国の飲食店3000店舗以上を指導。指導歴日本一のフードコンサルタントとして数多くの難問を解決。不振店を繁盛店へと生まれ変わらせる手腕は業界屈指のリーダーとして国内外で高く評価されている。