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飲食店にとっての「可変要素」とは?

飲食店にとっての「可変要素」とは?

前項で述べたように、飲食店において絶対に変わってはいけないこととは、お客様に尽くすことと感謝の気持ちを忘れないことである。逆に言えば、この2つの原則さえしっかりと守られるのであれば、つまり、お客様の満足を最優先する姿勢が貫かれているのであれば、飲食店に「こうでなければならない」ということはない、ということになる。

ここで、お客様はなぜ飲食店を利用するのかを考えてみよう。

たとえば、忙しいビジネスマンにとって、ランチはできるだけ簡単に、お金をかけずに済ませたいというのがふつうだろう。空腹を満たすだけでなく栄養補給も大切だが、時間がなければ立ち食いそばでもかまわない。

しかし、同じビジネスマンでも、商談を兼ねてのランチとか、ちょっと休息も取りたいというときのランチとなると、利用するお店も違ってくる。昼食をとるということも目的だが、それよりも、商談に向いているとか食後のコーヒーまでゆったりできるということのほうが大切な目的になっているからだ。

要するに、お客様は単純に飲食するためだけで飲食店を利用しているわけではない、ということだ。もちろん、飲食店を利用するのは「飲食」をするためだが、実はそれは、お客様の目的のひとつにすぎない。夜の利用を考えれば、もっと理解しやすい。

たとえば、仕事の後、親しい友だちと久しぶりに会えば、食事をしたりお酒を飲んだりするだろう。そのとき、食事やお酒はお店に入った目的といえるだろうか。たぶん違う。本当の目的は、その友人と楽しくすごすことのはずである。たまには天ぷらでも食べようかと天ぷら店に入ったかもしれないが、別に焼肉店でもかまわない。仕事の後で空腹を満たすことも必要だが、それ自体が目的ではないわけだ。

いまは24時間外食ニーズが発生する時代だが、ランチとか朝食を飲食店でとるのは、便利だから飲食店を利用するというニーズである。それに対して、夜の時間帯の外食ニーズは、わざわざ外食するニーズである。楽しく豊かな時間をすごすために飲食店を利用するわけだ。

外食は本来、だれにとってもいちばん身近なレジャーである。ただし、レジャーの質というか中身は、時代とともに大きく変わる。料理にしろ店内の雰囲気にしろ、飲食店に求められるニーズはどんどん変わっている。

とすれば、飲食店のほうもニーズに合わせて変わっていかなければならない。お客様が気分よくすごせるように尽くすという、飲食店としての本質は不変でなければならない。しかし、どのように尽くすのか、そのやり方、考え方は変わらなければおかしい。なぜなら、お店側が変わらなければ、お客様を満足させることはできないからだ。

もちろん、何でもかんでも変化すればいいということではない。商品にしろ、内装にしろ、変わらないことが価値になる場合もあるが、それでも、サービスの仕方は変えなければいけないということもある。

いかにお客様に満足してもらうかを考え、そのための改善を重ねていくこと。その積み重ねが成功をもたらすのである。

著者紹介:宇井 義行
コロンブスのたまご 創業者・オーナー

学業のかたわら、18歳から飲食店で働きながら実践的な飲食業を学び、23~25歳で6店舗の飲食店経営を手掛け、超繁盛化。赤字店の1ヶ月での黒字化など奇跡を起こし注目を集める。 26歳の時、実践的な「飲食コンサルタント」として独立。個性的な店、地域一番店を目指し、情熱ある現場直接指導に力を注ぎ、 全国の飲食店3000店舗以上を指導。指導歴日本一のフードコンサルタントとして数多くの難問を解決。不振店を繁盛店へと生まれ変わらせる手腕は業界屈指のリーダーとして国内外で高く評価されている。