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単価×人口×所要時間で見る飲食店の立地調査のカンどころ

単価×人口×所要時間で見る飲食店の立地調査のカンどころ

候補物件が出たら立地調査を行うが、基本は、その物件を中心に、商圏と考えられるエリア内をくまなく歩いてみることである。

一度だけではなく、いろいろな曜日、時間帯、天気と条件を変えて、歩き回ってみるのだ。これで、そのエリアの全体像をざっとつかむことができる。観察するポイントは、町のタイプ(住宅地、商業地など)、出店しているかということだ。

さらに、地元の役所や商工会で、人口動向(人口構成、世帯数、年齢構造、男女比など)や消費水準、職業構成などを調べるといい。事業所や学校もターゲットになる場合は、その規模や数、位置なども調べる。

なお、商圏の範囲(人口、所要時間)は業態によって変わるから、 一般的な目安を挙げておく。

・客単価500円まで / 1万5000人〜2万人:5分以内
・500円〜1000円 / 3万人〜6万人:10分〜20分
・1000円〜2000円 / 6万人〜10万人:20分〜30分
・2000円〜5000円 / 10万人以上:1時間
・5000円以上 / 基本的に無制限

ただし、これはあくまで目安であって、商圏内人口を満たしていなくても繁盛している例はたくさんある。繁盛店はロコミなどで名声が広がるため、来店所要時間の制限を受けにくくなることも付け加えておこう。

また、商圏は自店を中心とする円形になるとは限らない。駅やデパート、大型スーパーなど、消費行動のマグネット施設がある場合は、その施設から自店に向かう方向の商圏は広めに設定できる。逆に、片側2車線以上の繁華な道路や鉄道、川などがある場合は、商圏はそこで切断されるということも知っておく必要がある。

立地調査といつても、大袈裟に考えることはない。要は、どんな人たちが集まっている町なのかを、できるだけ具体的につかむことが大切なのだ。役所などでデータを集めるのもそのためで、地域の消費者のトータルな生活像を把握することで、どんな業種。業態がしっくり受け入れられそうかという予測も立つわけだ。

もちろん、小さなお店でここまで調査する必要はないという意見もあるだろう。また、大した調査をしないでオープンしても、繁盛しているお店があるのも事実だ。しかし、確実に成功したいのなら、できる調査はしておくべきである。

たとえば、住宅地といっても、新興住宅地と旧住宅地とでは住民の層が違うし、消費行動も違う。マンションやアパートが多いかどうかということも、大事なポイントだ。

また、町は生き物ということも頭に入れておいてほしい。いまこうだからといつて、1年後、2年後にも同じ姿だという保証はない。新道ができるとか、大型商業施設が一カ所オープンしただけで、人の流れはガラリと変わってしまう。町の将来像を事前につかんでおくことも忘れてはいけない。

著者紹介:宇井 義行
コロンブスのたまご 創業者・オーナー

学業のかたわら、18歳から飲食店で働きながら実践的な飲食業を学び、23~25歳で6店舗の飲食店経営を手掛け、超繁盛化。赤字店の1ヶ月での黒字化など奇跡を起こし注目を集める。 26歳の時、実践的な「飲食コンサルタント」として独立。個性的な店、地域一番店を目指し、情熱ある現場直接指導に力を注ぎ、 全国の飲食店3000店舗以上を指導。指導歴日本一のフードコンサルタントとして数多くの難問を解決。不振店を繁盛店へと生まれ変わらせる手腕は業界屈指のリーダーとして国内外で高く評価されている。