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飲食店営業方針の基本は地元密着

飲食店営業方針の基本は地元密着

自店の影響力が及ぶ範囲を商圏という。商圏については別項で詳しく説明するが、要するに、お客様を見込めるエリアの範囲と理解していい。

ところで、はじめて飲食店をオープンする人は、商圏は広ければ広いほどいいと考えがちだ。商圏が広ければ商圏人口(潜在顧客数)が多いのだから、当然、お客様の来店確率も高くなるというわけである。

しかし、この考え方は非常に危険である。商圏を設定するのは勝手だが、実際に来店してくれる保証はないのである。ポピュラープライスの一般の小さなお店は、商圏を小さく設定し、地元に密着するべきなのだ。

最近は遠くからでもお客様が押し寄せるラーメン店など、大繁盛飲食店の話題がマスコミをにぎわしている。そういうお店をめざすのは素晴らしいことだ。しかし、マスコミで話題のお店も、最初から超有名店だったわけではない。当初は地元客相手に営業していたのが、有名になったことで遠方からの客がわざわざ来店するようになった、というのが一般的なパターンだ。夢は大きくもちたいが、お店づくりの計画は堅実でなければならない。あくまで地元密着が基本と、肝に銘じてほしい。

地元密着の営業方針が有利なのは、何と言ってもお店がお客様の生活圏内(仕事圏内)にあることだ。近くにあるということは、まず利便性が高いし、お店の存在も知られやすい。したがって、 一度利用してもらえば来店頻度が高くなるし、お客様に「地元にあるいいお店」と思ってもらえれば固定客化もしやすい。これは非常に大きなメリットである。

一方、商圏を大きく設定したからといつて、遠方のお客様が来てくれるとは限らないが、距離が遠いということは、来店頻度は望めないということでもある。固定客化がむずかしいから、フリー客中心の営業にならざるを得ない。したがって、経営の安定は図りにくいということになる。最近は、ファミリーレストランのチェーンですら、地元密着志向に切り替えている。

もちろん、お店側の商圏の設定範囲がお客様にわかることは少ない。しかし、お客様というのは、宣伝の仕方や接客の態度などから、このお店が地元客をどう考えているかという見当はつくものだ。理屈ではなく感覚的なものだが、あなどってはいけない。

お客様にとって地元のお店というのは、なんとなく安心感があるものだ。安心感というより、親近感といったほうがいいかもしれない。いわゆる近所付き合いの感覚に近い。だから、気に入ってもらえれば、ロコミで評判が伝わりやすい。お客様がお客様を呼んでくれるという理想的な展開も期待できるわけだ。

ただし、ロコミがきくということは、悪い評判もあっという間に伝わってしまうことでもある。その辺は十分に注意しないと、大ケガをしかねない。地元密着の成功原則は「地元では絶対に敵はつくらない」ということだ。たとえば、商店街立地の場合、商店街の他の飲食店は競争相手になるわけだが、そこでライバル意識をむき出しにして競うようではダメだ。

共存共栄の発想に切り替えれば、商店街で働く人たちを固定客化することもできるのだ。

著者紹介:宇井 義行
コロンブスのたまご 創業者・オーナー

学業のかたわら、18歳から飲食店で働きながら実践的な飲食業を学び、23~25歳で6店舗の飲食店経営を手掛け、超繁盛化。赤字店の1ヶ月での黒字化など奇跡を起こし注目を集める。 26歳の時、実践的な「飲食コンサルタント」として独立。個性的な店、地域一番店を目指し、情熱ある現場直接指導に力を注ぎ、 全国の飲食店3000店舗以上を指導。指導歴日本一のフードコンサルタントとして数多くの難問を解決。不振店を繁盛店へと生まれ変わらせる手腕は業界屈指のリーダーとして国内外で高く評価されている。