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飲食店運営で人件費を無駄に増やさないためのワークスケジュール表の作り方

飲食店運営で人件費を無駄に増やさないためのワークスケジュール表の作り方

別項で、飲食店の原価のうち、人件費は固定費と変動費の両面があるといった。固定費になるのは社員人件費のうちの主に本給部分(能率給や残業費などは変動費)であり、変動費ととらえられるのはパート・アルバイト費である。

固定費というのは、売上高の増減に関係なく毎月一定の金額がかかる費用である。したがって、固定費の設定が高いと損益分岐点を押し上げて、利益が出にくい体質になってしまう。固定費はできるだけ少なくしたほうがいいに決まっているわけだ。

そのため、かつては飲食店の人件費は固定費と考えられていたが、最近はできるだけ変動費化しようというのが流れになっている。大手のチェーン店などでスタッフの大半がパート・アルバイトで占められているのは、人材難というわけではない。人件費をできるだけ低く抑えるための手法なのである。

もっとも、小さなお店の場合は、社員を採用するケースはあまり多くない。経営者が主力労働力になるためで、大手であれば社員が務める店長を経営者が兼任している。だから、あとのスタッフは全員パート・アルバイトでも、お店の運営には差し当たって不都合は起こらないわけだ。

つまり、小さなお店では最初からパート・アルバイトなのだから、人件費は問題にならないのではないか。そう考える人もいるだろう。しかし、意外とそうでもないのだ。問題は、社員かパート・アルバイトかということではなく、固定費か変動費かということなのだ。パート・アルバイトでも、毎月決まつた金額の給料を払っているのであれば、それは固定費ということなのである。

当たり前のことだが、飲食店の来客数というのは、別に決まつているわけではない。通常は季節や月、週、曜日、そして時間帯によって、来客数は大きく変わる。ということは、いつも同じ人数のスタッフで営業していたら、非常に効率が悪いことになる。

たとえば、来客数の多いときに十分対応できる人数が基本になっているとしたら、来客数の落ち込む曜日や時間帯にはスタツフが余ってしまうことになる。それこそムダな人件費である。反対に、人数を少なめに設定していると、来客数の多いときに対応しきれずにお客様を逃してしまう可能性が高くなる。少なくとも、満足な対応がされなかったお客様は不満に思うだろう。当然、次の来店は期待できないわけだ。人件費は抑えられても売上高が上がらないのでは、マイナスでしかない。

このように、人件費のムダは避けたいが、かといつて低く抑えればいいというものではない。お店の業種業態と規模によって、適正なスタッフの人数というものがある。つねに適正な人数を維持するということは、言い替えれば、人件費を変動費化することにほかならない。

そこで大事なのは、スタッフの配置に計画性をもつことだ。明日は暇そうだから来なくていいとか、忙しいから休みを返上してほしいなどと勝手なことを言っていたら、パート・アルバイトはやっていられない。

勤務時間にしてもそうだ。パート・アルバイトの人たちは、遊びで来ているわけではない。毎月いくら稼げるのかがはっきりしないようでは、彼らの定着率が悪くても仕方がない。

来客数に応じたスタッフの人数を配置する計画をワークスケジュールと呼ぶ。ランチタイムのピーク時にはホール何名、厨房何名、アイドルタイムは何名というふうに、来客数の予測にしたがって人員配置を変えていくわけである。

人件費は材料原価と並ぶ、飲食店の最大の原価である。この費用をどれだけ効率的に使うかで、利益は大きく違ってくる。チェーン店などでは、綿密な計算に基づくワークスケジュールによる人件費管理が常識になっている。一般の小さなお店の場合、そこまで厳密に考える必要はないが、ある程度の調整は不可欠だし、やってできないことではない。パート・アルバイトなら安上がりという感覚ではなく、実際に何人のスタッフが必要かという視点で、慎重に検討すべきである。

というのも、人件費の扱いで最も大事なのは、あくまで「お客様の満足」を前提にすることだからだ。人件費は決して余計な経費ではない。お客様に満足を提供するための適正な人件費をかけるからこそ、お客様は支持してくれる。その結果(売上高)として適正な利益を得られるのである。

また、ワーク・スケジュールを実現するには、スタッフの力量が問題になることを知っておく必要がある。

スタッフは頭数がいればいいというものではない。 一人一人のスタッフがきちんと仕事ができなければ、適正な人数を決めることすらできないのだ。もちろん、人によって能力の違いはある。だから、そのデコボコを穴埋めできるような教育・訓練を徹底していくことが大切なのである。その意味では、スタッフとスタッフの組み合わせも考慮しないといけない。そして、絶対にスタツフに無理を押しつけないこと。長続きしてもらえなければ、安定したお店の運営はできないのである。

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著者紹介:宇井 義行
コロンブスのたまご 創業者・オーナー

学業のかたわら、18歳から飲食店で働きながら実践的な飲食業を学び、23~25歳で6店舗の飲食店経営を手掛け、超繁盛化。赤字店の1ヶ月での黒字化など奇跡を起こし注目を集める。 26歳の時、実践的な「飲食コンサルタント」として独立。個性的な店、地域一番店を目指し、情熱ある現場直接指導に力を注ぎ、 全国の飲食店3000店舗以上を指導。指導歴日本一のフードコンサルタントとして数多くの難問を解決。不振店を繁盛店へと生まれ変わらせる手腕は業界屈指のリーダーとして国内外で高く評価されている。