収益力をつけるには、宴会に強いお店になることだ。宴会に強いお店と弱いお店を比べると、収益性は雲泥の差である。
宴会のメリットの1つ目は、まとまった人数で利用してもらえるということだ。 一組客数がぐんと増えるから、非常に効率のいい営業ができる。
2つ目は、客単価が高いことである。宴会はお客様にとって特別な利用動機だ。極めて非日常的な利用動機である。したがって、通常の利用金額よりも高くなってもあまり抵抗がないわけだ。
3つ目は、宴会用のメニューでは利益率を高めやすいということもある。もちろん、お値打ち感のない宴会メニューではダメだが、見た目の華やかさなどで原価率をカバーするテクニックはいくらでもある。ホテルの宴会メニューを見てみると、このことがよくわかる。
さらに、会社の集まりなどの場合、ふだん利用していない取引先の人たちも招かれたりするというメリットもある。つまり、新規客獲得の絶好のチャンスでもあるわけだ。
宴会にはこれだけメリットがあるのだから、そのニーズを取り込まないという手はないだろう。当然、最近は小さなお店でも、宴会に力を入れるところが増えてきている。
ところが、成果を上げているお店はそれほど多くはない。しかし、誤解してはいけない。小さなお店では宴会を取れないということではないのだ。
宴会は別に大型店の専売特許ではない。小人数の宴会なら小さなお店でも十分に取れるわけだし、人数によっては貸し切りという手もある。問題は、お店側の宴会ニーズのとらえ方にある。要するに、宴会といえば忘年会。新年会くらいのもの、という思い込みが足を引っ張っているのである。
たしかに昔から、宴会シーズンといえば年末年始だし、この期間は飲食店の最大の書き入れ時である。ふだんの月の3倍を売り上げるお店も珍しくはない。そして、そこにばかり目を奪われているから、他の宴会ニーズをみすみす見逃してしまうのだ。宴会に強いお店になるためにはまず、宴会ニーズは一年中あるという発想をもつことである。
宴会は人が集まる場だ。それなら、お客様の一年間のライフサイクルに目を向けてみよう。そうすれば、さまざまな宴会ニーズがあることがよくわかる。
たとえば、3月、4月といえば、卒業、入学、入社、転勤の季節だが、どれもお祝いごとを伴うものばかりである。人生の大きな節目の月だからだが、もともと宴会というのは、そういつ節目に開くものだった。だったら、そのお祝いをお店でやってもらえばいい。
改まった宴会の形ではないにしても、友人同士など親しい人たちが集まって飲食するのなら、実質的には立派な宴会だ。この発想が大事なのである。たとえば、主婦たちのサークル活動などでも、こういう宴会ニーズはたくさんある。立地によつては、ホームパーティー代わりの利用も見込める。
こういう宴会ニーズは潜在的なものが多い。したがつて、お値打ちな宴会プランをつくり、つねにアピールしておくことが必要なのだが、ただ「各種宴会承ります」というのでは弱い。こんな集まりにもご利用くださいという、提案型のアピールが大切になる。