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飲食店のカウンター席は常連ひとり客への投資と捉える

飲食店のカウンター席は常連ひとり客への投資と捉える

最近はカウンター席を設ける飲食店が多い。もっとも、カウンター席といってもいろいろで、オープンキツチンで調理作業が見えることをお店の演出の目玉にするというケースもあるわけだが、単純に席数をたくさん取るためという事例が圧倒的だろう。実際、すべてをテーブル席にするよりも、カウンター席を設けるほうが席数を確保しやすい。だから、とりわけ小さなお店は業種にかかわらず、カウンター席をつくるようになっている。

それはいい。問題なのは、カウンター席をどう利用してもらうのかという発想がないところにある。バーのようなカウンター主体の業種を別にして、一般の飲食店の場合、カウンター席はたんに席数を増やすために設ける席ではない。一人客への対応のためという大切な目的がある。つまり、カウンター席があるお店は、基本的に一人客を歓迎するお店のはずなのだ。ところが、カウンター席を設けているにもかかわらず、一人客を大切にしないお店があまりに多い。

昔から飲食店は、一人客を軽んじる傾向がある。これは事実だ。理由は簡単。客数を稼げないからである。一人客に4人掛けテーブルを占領されたら大損、という発想だ。

4人掛けテーブルに1人ずつしか座ってくれなければ、非常に効率が悪い。しかし、だからといつて「一人客などはお客様ではない」とでもいうような態度を取っていいということにはならない。カウンター席があるのに一人客を大事にしないお店は、要するに一人客では損をするという発想のわけだ。しかし、何人で来店しようがお客様はお客様だ。この原則を忘れてはならない。

たしかに、 一人客は客数から見ればたつたの1人だ。単純計算すれば、売上は2人客の半分である。欲張って4人客まで想定すれば、わずか4分の1でしかない。

しかし、売上高というのは、1組客数だけで決まるものではない。お店にとって最も大事なのは、同じお客様の来店頻度である。たとえ一人客でも月に何回も利用してくれれば、そのお客様の累積売上貢献度は大

きなものになる。一方、2人、3人で来店してくれたとしても、月に1回も利用してくれないのでは、月間の売上貢献度は小さい。ここに固定客の大きな意味がある。

もちろん、来店頻度が高い、低いでお客様のありがたさが変わるものではない。たまにしか来店してくれなくても、等しくありがたいお客様だ。それと同じで、 一組客数がたつた1人だとしても、ありがたいお客様なのである。それなのに、1人だからとぞんざいに扱うなど、絶対にあってはならないことなのだ。

また、ふだんは1人でも、友人などを連れてきてくれることもあるし、いいお店として気に入ってくれていれば、周囲に宣伝もしてくれる。そのお客様が来店するときは1人でも、何人ものお客様を紹介してくれるのだ。そういう広がりも考えたら、とてもぞんざいになど扱えないはずだ。

そもそも4人掛けテーブルを基本にするから、席の効率が悪くなる。2人掛けでテーブルを付けられるようにすれば、どんな客数にも対応できるのだ。それと、 一人客を大切にするには、サービスの面でもカウンター席の居心地のいいお店にすることが大切だ。

著者紹介:宇井 義行
コロンブスのたまご 創業者・オーナー

学業のかたわら、18歳から飲食店で働きながら実践的な飲食業を学び、23~25歳で6店舗の飲食店経営を手掛け、超繁盛化。赤字店の1ヶ月での黒字化など奇跡を起こし注目を集める。 26歳の時、実践的な「飲食コンサルタント」として独立。個性的な店、地域一番店を目指し、情熱ある現場直接指導に力を注ぎ、 全国の飲食店3000店舗以上を指導。指導歴日本一のフードコンサルタントとして数多くの難問を解決。不振店を繁盛店へと生まれ変わらせる手腕は業界屈指のリーダーとして国内外で高く評価されている。