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小さな店舗が食材業者と上手に付き合う方法

小さな店舗が食材業者と上手に付き合う方法

言うまでもないが、飲食店にとって食材業者は最も大事な出入り業者である。飲食店は食材がなければ営業できないのだ。また、商品のクオリティーの7割方は材料で決まってしまう。業者には、できるだけいい材料を安くもってきてほしい。これは、すべての飲食店経営者の願いだろう。

しかし、業者も商売である。すべての取引先と完全に平等な付き合いなどできるはずもない。扱う材料にランクがあるのは当然のことで、その届け先の優先順位は付き合いの度合いで決まっていくわけだ。このことはしっかりと頭に入れておいてほしい。

といっても、業者にへつらう必要はまったくない。ないどころか、そんな態度では甘く見られて損をするだけである。また、妙に強気に出て買い叩くことばかり考える経営者もいるが、これも間違いである。素直に値引きするようなら、必ず理由がある。知らぬが仏、というわけだ。

食材業者との付き合いはパートナーシップをもつのが基本である。お互いをビジネスパートナーとして尊重し、お互いに利益を上げられるように考える。この姿勢なくして、有利な仕入は絶対にできないと肝に銘じてほしいと思う。昔から商売はソンしてトク取れというが、業者を儲けさせて、その上で自分が儲けるという発想が大切なのだ。

ただし、業者を儲けさせるというのは、別に高く仕入れるということではない。お店が繁盛して仕入の量が増えれば業者も儲かるという意味である。業者との関係が良好なら、質のよい材料を優先的に回してくれるようになるし、ときには値引きもしてくれるだろう。また、新しい食材の情報をもってきてくれるとか、イベントの際には積極的に協力してくるということもある。

しかし、注意したいのは、パートナーシツプとはただ仲がいいとか馴れ合い体質になることではない、ということだ。

品質の悪い材料が届いたら直ちに返品するなど、毅然とした姿勢を示さなければいけない。それで相手の態度が悪くなるようなら、さつさと別の業者に変えることだ。優良業者であれば、そういう姿勢を示すことでかえって協力的になってくれるものである。業者の商売も競争が激しい。できるだけ優良な相手と取引したいと思っているのは、業者も同じである。

さらに付け加えるなら、支払期日は順守し、場合によっては現金取引にも快く応じることも必要だ。お互いに苦しいときには助け合う。そういう精神を大事にすることが、パートナーシップの基本である。

ところで、業者から仕入れると手数料がかかる。当たり前のことなのだが、これを不満に思っているお店があるのも事実である。しかし、そういう考え方ではビジネスは成り立たない。

食材を業者から仕入れるのが常識になっているのは、はっきり言ってそのほうがラクだからだ。ラクというのは、買いに出かける時間と労力という意味だけではない。市場に行ったところで、材料を見る目がなければ意味がない。それこそ業者に馬鹿にされるだけだ。そもそも、毎日のように仕入に出かける大変さを冷静に考えてみるといい。プロを使うメリットを考えれば、配送費などの上乗せは問題にならないはずである。

著者紹介:宇井 義行
コロンブスのたまご 創業者・オーナー

学業のかたわら、18歳から飲食店で働きながら実践的な飲食業を学び、23~25歳で6店舗の飲食店経営を手掛け、超繁盛化。赤字店の1ヶ月での黒字化など奇跡を起こし注目を集める。 26歳の時、実践的な「飲食コンサルタント」として独立。個性的な店、地域一番店を目指し、情熱ある現場直接指導に力を注ぎ、 全国の飲食店3000店舗以上を指導。指導歴日本一のフードコンサルタントとして数多くの難問を解決。不振店を繁盛店へと生まれ変わらせる手腕は業界屈指のリーダーとして国内外で高く評価されている。