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小さな飲食店を伸ばすメニュー基準表の書き方と見直すタイミング

小さな飲食店を伸ばすメニュー基準表の書き方と見直すタイミング

メニュー基準表とは調理マニュアルのことだ。マニュアルというと、チエーン店や大型店のものと思い込んでいる人が多いが、そんなことはない。小さな個店でも、お客様の信用を得るために絶対に必要なものである。

では、なぜ絶対に必要なのか。それは、飲食店の商品はつねに一定のものでなければならないからだ。商品が商品として通用するための条件は、その内容がつねに一定であることだ。

①味、②量、③盛りつけ、④材料原価、⑤提供時間、の5つである。

定価を付けてお金をいただく以上は、これら5つの内容がいつでも同じでなければ、 一人前の飲食店とは言えない。行くたびに味や量が変わるお店は意外と多いものだが、そんなことを平気でやっていたら当然、お客様の信用は得られないということになる。

メニュー基準表は、これら5つの要素を一定にするためのマニュアルである。いつ、どの担当者がつくっても「同じ」商品を提供するためには、ひとつの基準が不可欠だ。その基準を示したものである。

調理マニュアルがチェーン店や大型店だけのものではないということが、これで理解できるはずだ。商品の内容がつねに一定でなければいけないということに、お店の規模の大小や店舗数は何の関係もない。というより、小さなお店だから多少のことは許される、などという甘えた発想で商品づくりをすることが、最も危険なことなのである。

さて、調理マニュアルの基本となるのは「仕込基準表」と「メニュー基準表」の2つである。最終調理のための手順ならともかく、仕込に基準表は必要ないのでは、と思う人もいるだろうが、実はそこに落とし穴がある。

通常、仕込作業はアルバイトや新人に担当させることが多いが、この段階でミスがあると、一定の商品は絶対につくれないのである。作業が単純、複雑というのではなく、ミスを防ぐために必要なのだということを理解してほしい。次に、それぞれの基準表の注意点を挙げておこう。

まず仕込基準表では、 一度に仕込む量、使用材料のそれぞれの分量と単価、合計金額を決める。使用材料は調味料類まですべて書き込むこと。とくに調味料類は目分量になりがちだが、できるだけ正確に表記することが大切である。単価と合計金額を書き込むのは、原価管理を徹底するためだ。

調理手順としては、使用する道具、調理機器、その扱い方、所要時間、注意事項を記入する。作業内容をどれだけ細かく指示するかは、仕事の難易度によって判断すればいいだろう。

メニュー基準表の内容は仕込基準表とほぼ同じだが、こちらはお客様のオーダーを受けてからの最終調理の標準化が目的だ。したがって、調理手順と盛りつけの指示が非常に大切な要素となる。サンプルやメニュー表の写真と同じ完成写真を貼付して、こまかい注意事項も記入しておくことだ。

なお、これらの基準表は、最低でも年に4回見直す必要がある。なぜなら、季節によって使用材料や原価が変わるからである。

著者紹介:宇井 義行
コロンブスのたまご 創業者・オーナー

学業のかたわら、18歳から飲食店で働きながら実践的な飲食業を学び、23~25歳で6店舗の飲食店経営を手掛け、超繁盛化。赤字店の1ヶ月での黒字化など奇跡を起こし注目を集める。 26歳の時、実践的な「飲食コンサルタント」として独立。個性的な店、地域一番店を目指し、情熱ある現場直接指導に力を注ぎ、 全国の飲食店3000店舗以上を指導。指導歴日本一のフードコンサルタントとして数多くの難問を解決。不振店を繁盛店へと生まれ変わらせる手腕は業界屈指のリーダーとして国内外で高く評価されている。