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年々イメージが刷新される「高齢者」に好かれるメニューづくり

年々イメージが刷新される「高齢者」に好かれるメニューづくり

これからの飲食業が真剣に考えなければならないテーマのひとつが、高齢社会への対応である。高齢社会の問題を大上段に振りかぶって論じる気はない。あくまで飲食店の現実の問題として考えなければいけないテーマということだ。なぜそれほど重要なテーマなのか。それは、これからは高齢者の外食比率がますます一日まっていくだろうと予測されるからである。

核家族化の後に来た高齢社会では、お年寄り夫婦二人だけという、いわゆる老人世帯が確実に増えていく。

これは確かなことだ。ところが、スーパーなどを見てもわかるように、お年寄り二人で食べてちょうどいいボリュームの食品は、総莱以外にはあまりない。とくに生鮮食品は、食べる量の少ない高齢者世帯にとって、かなり割高についてしまっているのが現状だ。

また、年を取ると、食材を買って調理するということ自体が億劫になりがちである。それなら、手軽なところで外食したほうがいい、ということになる。こういっても、ピンとこない人が多いかもしれない。しかし、いまはまだ飲食店のほうが高齢者に対応しされていないため、利用頻度が少ないという言い方もできるのだ。

では、高齢者に好かれるメニューとはどんなメニューだろうか。これは大きく分けて2つの考え方に分かれるだろう。1つは、高齢者向けのメニューを充実させるという考え方。もう1つは、一般的なヘルシー志向への対応をアレンジするという考え方である。

前者の場合は、たとえば魚介や野菜を中心に、油をなるべく使わない調理法でメニューを構成していくことになる。焼き魚や煮魚、野菜の煮物など、いわゆるお袋の味的なメニューである。

後者の場合は、お年寄りだからといつてメニュー幅を狭めずに、カロリーや油分、塩分などをコントロールして対応しようという考え方だ。お年寄りといっても、いまは昔と違って元気一杯である。もちろん、年齢相応に食生活にも注意しているだろうが、たまには外でおいしいものが食べたいと思っても不思議ではない。そして、おいしいものとは、中年だった頃まではよく食べていた料理である。老人だからといつて、病人食のような食事ばかりとる必要はないわけだし、たまに食べるくらいなら健康への影響も心配することはない。肉や揚げ物も食べたい、ということになるわけだ。

そういうニーズに応える場合に大事なことは、まずカロリーなどを十分に考慮して、それを表示などでアピールすることだが、同時に、適度な量を考慮するということだ。

飲食店の「一人前」の量は、昔からいろいろと議論されてきた問題だが、高齢者への対応では、絶対に無視はできない。どんなにヘルシーな料理でも、食べきれないような量で提供するのではお年寄りにやさしいお店とは感じてもらえない。

一般客との違いをどうするのかという問題も絡むが、私はお年寄り向けの量のメニューには、そのことをはっきりと明記すべきだと思う。レディースランチなどと同じに考えればいいのだ。要は、お店の取り組みの姿勢である。まずそこで好感をもたれることが、高齢者に支持されるお店になるための絶対条件である。

著者紹介:宇井 義行
コロンブスのたまご 創業者・オーナー

学業のかたわら、18歳から飲食店で働きながら実践的な飲食業を学び、23~25歳で6店舗の飲食店経営を手掛け、超繁盛化。赤字店の1ヶ月での黒字化など奇跡を起こし注目を集める。 26歳の時、実践的な「飲食コンサルタント」として独立。個性的な店、地域一番店を目指し、情熱ある現場直接指導に力を注ぎ、 全国の飲食店3000店舗以上を指導。指導歴日本一のフードコンサルタントとして数多くの難問を解決。不振店を繁盛店へと生まれ変わらせる手腕は業界屈指のリーダーとして国内外で高く評価されている。