商品づくりはつねに、材料ロスとの戦いである。材料費は飲食店の最も大きな費用であり、このムダをできるだけ小さくすることは、飲食店の永遠のテーマといえる。しかし、必要な材料を削るようでは、魅力的なメニューはつくれない。では、どうすれば実現できるのか。
その方法はいくつかあるが、最も基本的な方法は、使用する材料の種類をできるだけ少なくすることだ。できるだけ種類の少ない材料を組み合わせて、できるだけバラエティーに富んだメニュー構成を実現するのである。こういうメニューを少数材料多品ロメニューという。
通常、料理はさまざまな材料の組み合わせでつくられる。数種類の材料しか使わない料理もあるが、10種類以上の材料が必要な料理も少なくない。そのため、飲食店が仕入れる材料の種類はかなりの数にのぼるのが一般的である。
したがって、単純に個々の料理だけを考えてメニューづくりをしていくと、大変な種類の材料を仕入れ、管理しなければならなくなる。そうなれば当然、材料ロスも大きくなっていくし、最終調理の前に行う仕込作業も大変だ。使用材料の種類という観点からメニューを洗い直してみれば、このムダがいかに大きいものかがよくわかるはずである。
さらに考えを進めて、商品自体の完成度とアピールカに着目すれば、使用材料の種類の豊富さが必ずしもメニューの魅力につながっていないということにも気づくだろう。絶対にAという材料を使わなければならないのではなく、BでもCでも代用できる。そういう商品はかなりあるはずなのだ。
もちろん、少数材料多品ロメニューは簡単に実現できるものではない。メニューの改善の積み重ねの中で実現されていくものだ。しかし、つねにその意識をもたなければ絶対に実現できない。日頃から念頭に置いて、各商品の見直しをしていくことが大切だ。
使用材料の種類を絞り込むメリットは、材料ロスをなくすことばかりではない。主要材料を明確にして使用量を大きくすることで、仕入が有利になるということも忘れてはいけない。仕入ロットが大きくなればコストダウンにつながるし、材料自体の品質を高めることにもつながっていく。種類が少なければ当然、材料原価率のコントロールもやりやすくなるわけだ。
各商品と材料との関係を把握するには「商品・食材相関表」を作成してみるといい。タテ軸に材料名、ヨコ軸に商品を並べて表をつくり、各商品の使用材料のところをチェツクしていくのだ。
こうして表にしてみると、各商品と材料の組み合わせが一目瞭然となる。どの材料の使用頻度が高いのか、低いのかがひと目でわかる。使用頻度の低い材料は頻度の高い材料で代替できることもあるだろうし、必要性が薄ければカットしてもいい。とくに使用頻度の高い材料があれば、それを使って新商品を開発してもいいわけだ。メニューというのは、こういう見直しを繰り返しながら完成度が高まっていくものである。