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お客様からの要求は、テーブルが表している

お客様からの要求は、テーブルが表している

接客サービスの盲点は中間サービスにある。中間サービスというのは、お客様がオーダーした料理をお出しした後のサービスである。接客サービスの仕事は、お客様が楽しくすごすためのフオローである。オーダーを受けて料理を出したらそれでおしまい、ということにはならないのだ。

ところが、これがなかなかできない。基本的にはお店の教育が悪いせいなのだが、ここを改善しない限り、本当にお客様に愛されるお店にはなれないといっておこう。

たとえば、最近は積極的に追加オーダーの推奨販売を行うお店が増えている。少しでも売上がほしいからで、やりすぎにならなければ悪いことではない。問題は、押し付けがましいまでの推奨販売をしておきながら、お客様のほうから追加オーダーがあったときに平気で見逃してしまうことにある。要するに、推奨販売はお店から言われて仕方なくやっているだけで、中間サービスという意識がまるでないからなのだ。

繰り返すが、サービススタッフの仕事は、お客様が楽しく過ごすためのフォローである。気を配って尽くすことだ。そのためには、お客様の動向をつねに気にしていなければならない。お客様のテーブルから目を離さないというのは、接客サービスの基本である。

もちろん、実際問題としてお店が忙しければ、つねに目を離さないというのは不可能だろう。しかし、何もじっと見つめていなさいということではないのだ。ときどきチラッと目をやるだけでいいのである。サービススタッフ全員がそれを実行していれば、お客様の合図を見逃すことはほぼ防げるはずなのだ。第一、お客様のほうも、スタッフに見つめられていては落ち着かないし、むしろ不快な気分になるだろう。

お客様のテーブルをつねに注意していれば、お客様の食事の進行状況や、いまお客様が何を欲しているのかということを的確につかむことができる。お客様の状態に応じたサービスが可能になるわけだ。

たとえば、複数の料理をオーダーした場合、本来なら最初の料理を食べ終わった頃を見計らつて次の料理を運ぶべきである。しかし、実際にそれができているのは、ほんの一部のお店だけである。まだ最初の料理が半分以上も残っているのに、次の料理を出してしまう。こんなことが、どうしてきちんとできないのか。

厨房内に問題があることもあるが、サービススタッフの注意不足が原因になっていることも多い。

また、食べ終えた食器がいつまでもテーブルにあるというのは不快なものだが、不注意なサービススタッフは、こんなことにも気づかない。最悪なのは、2皿目の料理を運んできたのはいいが、前の料理の皿を片付けていないというケースである。

水やお茶のお代わりも意外と軽視されがちだ。気づいていても注ぎ足したり交換したりしようとしないというのは問題外として、ここでも、お客様のテーブルヘの注意力不足が如実に出てしまう。

なお、食べ終えた食器を下げるときだが、絶対に黙って下げてはいけない。必ず「お下げいたします」と声をかけてから下げるようにすること。少しでも料理が残っていたら、勝手に判断しないで「お下げしてもよろしいでしょうか」と尋ねてから下げることだ。

著者紹介:宇井 義行
コロンブスのたまご 創業者・オーナー

学業のかたわら、18歳から飲食店で働きながら実践的な飲食業を学び、23~25歳で6店舗の飲食店経営を手掛け、超繁盛化。赤字店の1ヶ月での黒字化など奇跡を起こし注目を集める。 26歳の時、実践的な「飲食コンサルタント」として独立。個性的な店、地域一番店を目指し、情熱ある現場直接指導に力を注ぎ、 全国の飲食店3000店舗以上を指導。指導歴日本一のフードコンサルタントとして数多くの難問を解決。不振店を繁盛店へと生まれ変わらせる手腕は業界屈指のリーダーとして国内外で高く評価されている。