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飲食店経営で諸経費のムダをなくす管理手法のポイント

飲食店経営で諸経費のムダをなくす管理手法のポイント

エネルギーコストを重点管理せよ

飲食店の諸経費は別項で見たような多岐にわたるが、そのなかでもコストとして大きな比重を占めるのが、電気、ガス、水道といったエネルギーコストである。

エネルギーコストの売上高に対する割合は、一般に5〜8%前後。つまり、一般の飲食店が適正な経費を使って得られる利益とほぼ同額近い金額だ。したがって、このコストコントロールも利益を生み出すために、重点的に取り組む必要がある。

売上高に対してエネルギーコストは適正か

エネルギーコストの管理ではまず、これが変動費だということをしっかりと認識しなければならない。逆にいえば、その使用量が売上高に対して適正であるかどうかについて、つねにチェックする必要があるということだ。そのためには、売上高に対応した水道光熱費のそれぞれの標準使用量を設定しなければならない。

ところで、水道光熱費はふつう、それぞれの業者が検針して使用量を算出し、料金が請求される仕組みになっている。そして、請求書は会社の経理に回され、機械的に支払われているのが現実だろう。すると、経理ないしはその数字を見たトップが問題にしない限り、事実上、エネルギーコストは野放し状態になっていることになる。

また、トップから問題を指摘されたとしても、それまでにぼう大なムダを積み重ねることになるし、そのムダの原因をつきとめ、解決するのに時間がかかってしまう。

水道光熱費が毎月一定でないことくらいは誰でも知っている。しかし、だから変動費なのだという理解の仕方は間違っている。あくまで、その使用量が売上高に対してどうだったか、ということが大切なのである。

ちよっとしたムダがたまりたまってコスト増

エネルギーコストは「公共料金」である。そのためどうしても、「かかった分を支払う」ということになりやすい。つまり、ムダがあってもチェックされないままになってしまいやすいのだ。

しかし、水道光熱費のムダはどこのお店にもあるものだ。たとえば、水の出しっ放しや水漏れといった水道料金のムダ。照明の消し忘れや、フィルターの汚れが原因のクーラーや冷蔵庫などの電気料金のムダ。口火のつけっ放しなどのガス料金のムダ。

ちょっと見回してみれば、さまざまなムダをたれ流していることに気づくはずである。そして、これらのちょっとしたムダが、積み重なって大きなコスト増をもたらすのだ。

とにかくコスト管理では、「これくらいは……」という気持ちになるのがいちばんいけない。「そんな細かいことまで」と不満をもらす店長もいるが、その細かい努力を積み上げてはじめて、利益が確保されるのだ。大ぎっぱな計数管理などあり得ないということを、肝に銘じてほしい。

メーターチェックで使用量把握

水道光熱費の管理の基本は、メーターチェックである。店長みずからが自分の日で検針をおこない、使用量を算出するのだ。少なくとも週1回、できれば毎日、同じ時刻に実施する必要がある(週1回の場合は、毎週同じ曜日の同じ時刻に実施)。

これまで、エネルギーコストに対する意識が低かったお店なら、とりあえず1カ月間、毎日検針してみるといい。つまらないムダによって使用量がかなり変化することが、自分の日で確かめられる。それを部下に伝え、ムダの排除を徹底する習慣をつけるように教育するのも、店長の責任である。

メーターチェックで出た数字は、経理に回される月次の請求書と照合をおこなうが、その結果が一致しても、それは検針業者のミスがなかっただけである。大切なのは何度もいうように、売上高に対応した使用量=標準使用量だったかどうかということだ。

そして、もしも極端な異常値が発生した場合には、ただちに現場の状況をチェックしなければならない。これによって、配線や配管の異常も早期に発見することができるから、事故の防止にも役立つ。

なお、使用量を使用料金に換算しておけば、週間単位で売上高と対比することもできる。この場合、基本料金があるため概算になるが、経費が適正か否かを判断する材料だから、それでとくに問題はない。

備品、消耗品のムダもチエツクしよう

諸経費でエネルギーコストに次いで重点管理の必要があるのが、備品、消耗品である。とくに食器は、どんなに注意していても必ず破損が起こる。

問題は、その破損による損失(補充する食器代)ばかりではない。食器の不備は機会損失や作業ロスを引き起こすのだ。

たとえば、欠けた食器を使っていれば、間違いなくお店の評判を落とすし、最悪の場合はお客にケガをさせてしまうことにもなりかねない。結果はいうまでもなく、客数減である。

また、食器数が不足していると、ピーク時に必ず食器が足りなくなる。そこで、別の料理の皿を流用したりすることになるが、これも確実にお店の信用を落とすことになる。さらに、洗い物が混乱したり、早く補充しろとせき立てられることから洗浄が不十分になり、汚れの落ちていない食器を使ってしまう危険性もある。当然、ホールのサービス作業も混乱をきたしてしまう。

備品、消耗品等の管理方法

対策は、食器別に必要数量を割り出し、つねに標準在庫量を確保しておくようにすることだ。

必要数量は、ピーク時の客数、客席回転数、メニュー別販売数を集計することで算出できる。標準在庫量は、必要数量×110〜120%程度に設定するのが一般的である。ただし、必要数量は季節などによって変化することを忘れてはいけない。

したがって、必要数量の割り出しは季節ないしは各月でおこない、現実に即したデータにしておかなければならない。

次に、具体的な管理方法だが、これは次項で述べる材料費の管理と同様、毎月の正確な棚卸が必要になる(表19を参照)。

なお、紙ナプキンやトイレットペーパー、洗剤などといった消耗品についても、同様に標準在庫量を設定して、毎月1回棚卸しを実施すべきである。これらは客数によって消費量が変化するのだ。

また、消耗品に関しては、一度に大量に発注すると保管スペースや発注金額の問題も出てくる。あくまで各月の売上高に対する経費として管理するためには、棚卸しは絶対に必要である。

著者紹介:宇井 義行
コロンブスのたまご 創業者・オーナー

学業のかたわら、18歳から飲食店で働きながら実践的な飲食業を学び、23~25歳で6店舗の飲食店経営を手掛け、超繁盛化。赤字店の1ヶ月での黒字化など奇跡を起こし注目を集める。 26歳の時、実践的な「飲食コンサルタント」として独立。個性的な店、地域一番店を目指し、情熱ある現場直接指導に力を注ぎ、 全国の飲食店3000店舗以上を指導。指導歴日本一のフードコンサルタントとして数多くの難問を解決。不振店を繁盛店へと生まれ変わらせる手腕は業界屈指のリーダーとして国内外で高く評価されている。