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店長代行者の育成の必要性とポイント

店長代行者の育成の必要性とポイント

店長は二四時間店にいるわけにはいかない

店長はつねに、部下に適切な指示を出し、また基準どおりのレベルで仕事がおこなわれているかを監督していなければならない。だから、自分が接客サービスに没頭してはいけないのだが、部下の指揮・監督に徹したとしても、つねにお店にいるわけにはいかない。

まず二四時間営業のお店では、店長がいつもお店にいることなど不可能である。深夜営業がないとしても、毎日、朝から通してお店にいるわけにもいかない。生身の人間なのだから、いつケガや病気にみまわれるかもしれない。店長会議などでお店をあけることも少なくないし、大型店になると、店長一人ですべての管理業務を取り仕明っていたのでは、かえってマイナスになる場合もある。

また、当たり前のことだが、店長にも休日をとる権利がある。実際、一般に店長の悩みをホンネで聞くと必ず、休日がなかなかとれないことだという答えが返ってくる。それでなくても人手不足だから体むに体めないし、やっとのことで休日をとっても、お店の様子が心配で、ポケットベルを手離せない店長もたくさんいる。パート・アルバイトが急に何人も休んだりしたら、店長はいやでも出勤してカバーしなければならないからだ。

これでは店長はたまったものではないし、そういう現実の姿を見ている部下は、店長になりたいなどと思わなくなってしまうだろう。

店長代行者の育成は急を要す

店長の代行者はどうしても必要である。実際問題として、店長はつねにお店に張りついているわけにはいかないのだ。もし代行者がいなければ、店長不在時のお店は、お客に対する責任者不在ということになってしまう。もちろん、このことをしっかりと認識し、組織として副店長や主任といった代行者を置いている会社もあるが、そうでないお店の場合は、店長自身が自分の代行者を育成していかなければならない。

しかも、これは急を要する。社員であればそのうちに育ってくるだろう、などとのんびりと構えてはいられないのである。店長代行者がいない限り、つねに一定のレベルのQSCをお客に提供することはできないからだ。お店のQSCにバラツキがあれば必ず、客数は減少する。店長の代行者とは、お店の成績を大きく左右するキーマンでもあるのだ。

候補者選びの五つのポイント

店長代行者を育成するには、候補者の抜擢と特別な教育・訓練が必要になる。候補者選びのポイントは、次の五点である。

①接客サービスを完全な形でおこなえること
②管理の仕事を理解でき、会社の方針もきちんと理解できていること
③責任感が強く、仕事に対して積極的であること
④勤続期間ができるだけ長いこと⑤同僚から信頼されていること

①は、すでに基本の接客技術を完全に身につけていて、お客とのトラブルなどに対して臨機応変な判断、態度をとれるくらいであることが望ましい。また、人の抜擢は往々にして、同僚の嫉妬や反感を買いやすい。したがって、能力はあっても、同僚から浮いているような人では代行者は務まらない。そのため⑤は重要な条件になるのだが、そのうえで、代行者が代行者としての仕事をしやすい職場の空気づくりをしてあげるのは、店長の義務である。

②には、お店のスタンダードを知っていることも含まれる。つまり、サービスやクレンリネスばかりでなく、商品の基準についても知っていなければならないということだ。これは調理場を信用しないということではない。一定の水準の商品をお客に提供することの最終的な責任は店長にあるからだ。

お客のクレームヘの対処ということも、あらかじめ念頭に置いておく必要がある。③、④については、いまさら説明することもないだろう

候補者の教育はOJTしかない

店長代行者の候補者を選んだら、さっそく計画的に役割を与えて、短期間のうちに育成するが、そのためには、店長の業務とは何なのかを、店長自身が熟知している必要がある。そうでなければ、自分が不在時に代行者として求められる仕事と責任を、具体的かつ簡潔に教えることはできない。何と何をどのようにおこなえばいいのか。教えられたとおりに実行すればお店は間違いなくスムーズに機能する、というようになっていなければならないのだ。

候補者の教育・訓練の中心は、OJTである。機会あるごとに、また積極的に機会をみつけて、いかに部下の仕事を見守リバックアップしていくかについての、実施の管理経験を積ませることが肝心だ。

必要な知識を教えることも大切だが、部下指導の能力や的確な判断力というのは、実際にやってみないと身につかないものだ。また、OJTをしっかりやっていないと自信をもてないため、部下を自由白在に動かすことができない。代行者である以上、店長と同様に部下を動かす権限がなければならないのだ。

パートでも店長代行者は務まる

ところで、店長代行者は必ずしも社員でなければならないということはない。条件さえ満たしていれば、パート・アルバイトでもかまわないのである。人を指揮するのにふさわしい年齢ということから考えれば、主婦のパートタイマーは有望な候補者といえる。40〜50代で子育ての経験のある主婦なら、若い人たちの気持ちをつかむのがうまいし、一般的にいって、若い人たちよりもはるかに責任感も強い。お店のコンセプトにもよるが、一般にお客のほうも、人生のキャリアのある主婦が責任者とわかったほうが、なんとなく安心するものだ。

パートタイマーはいうまでもなく、勤務時間が短い。しかし、少なくとも昼のピーク時間帯の勤務は可能だ。その意味でも、昼間は学校がある学生アルバイトよりも戦力として計算しやすい。

パートタイマーで代行者が務まるのか、と思う人もいるだろう。しかし、これは可能なのだ。そもそも店長代行者といっても、何から何まですべての店長業務を任せるということではない。

たとえば、ワークスケジュールづくりや客数予測などは、絶対に代行者に任せるわけにはいかない。つまり、代行できる仕事を代行させればいいのである。だからこそ、店長は自分の仕事を分解して、その範囲と

内容を明確にしておかなければならないのである。現にパートタイマーが、店長代行者を務めているお店はある。社員数が足りないということもあって、そういうケースは増えてきつつある。

店長と代行者との間には責任の明確化が必要

ただ、代行者としての教育・訓練をおろそかにして、立場上でだけ代行者としているケースが少なくない。

お店の運営上も大問題だが、そのことによって優秀なパートタイマーが辞めてしまうことも、大きな問題である。管理業務について何も教えられないまま代行者を努めさせられるため、その負担に耐え切れなくなってしまうのだ。

こういうケースは第一に、会社の仕組みとして店長代行制が確立していないことがあるのだが、店長自身が、代行者をつくるとはどういうことなのかについて、よくわかっていないことも多い。そして、結局は自分で自分を窮地に追い込んでいるのである。

なお、店長代行制を導入するには、店長と代行者との間の責任関係を明確にしておくことが肝心だ。権限の委任の原則について知っておくということだ。

権限には必ず、責任がついてくる。では、ある権限を部下=代行者に委任したとすれば、その責任は委任された部下が負うことになるのかというと、それは違う。なぜなら、店長には部下に対する監督責任があるからだ。部下=代行者に権限を委任したあとでも、この監督責任は残るのである。

したがって店長は、代行者が何か失敗したときは、その責任をとらなければならない。代行者に責任を転嫁するような店長のもとでは、本当に仕事を任せられる代行者は育たないし、また、そういう店長は経営者や上司の信頼を失うことになる。このことをしっかりと認識しておく必要がある。

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著者紹介:宇井 義行
コロンブスのたまご 創業者・オーナー

学業のかたわら、18歳から飲食店で働きながら実践的な飲食業を学び、23~25歳で6店舗の飲食店経営を手掛け、超繁盛化。赤字店の1ヶ月での黒字化など奇跡を起こし注目を集める。 26歳の時、実践的な「飲食コンサルタント」として独立。個性的な店、地域一番店を目指し、情熱ある現場直接指導に力を注ぎ、 全国の飲食店3000店舗以上を指導。指導歴日本一のフードコンサルタントとして数多くの難問を解決。不振店を繁盛店へと生まれ変わらせる手腕は業界屈指のリーダーとして国内外で高く評価されている。