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第3章 店長&経営者がゼッタイ身につけたい計数管理のすべて

飲食店経営では各月売上計画の立て方はこうする。

予定の売上高と利益を達成する

店長の責任は売上高と利益に集約される。ただし、その評価はたんなる売上高や利益の額だけでおこなわれるわけではない。いちばん大事なことは、予定したとおりの売上高と利益を達成したかということだ。会社は中長期計画に従って成長と事業拡大をめざしていくが、それを実現するのは短期(一年間)の資金繰りである。予定どおりの数字(予算)を確実に達成していくことは、企業としての社会的信用、業界内での地位の確保、そして銀行対策上欠かせない要素である。

したがって、店長はまず、会社のめざす方向やビジョン、そして中長期計画を理解し、そのなかで自分が果たすべき責任を数字によって理解する必要がある。

月間比を算出する

売上予算はふつう、年度の年間売上計画として会社から示される。そこで店長は、年度の予算を各月に割り振らなければならない。これが各月売上計画だ。

年間計画を各月計画に割り振るには、次年度の売上推移をできるだけ正確に把握する必要がある。いいかえれば、過去の売上げの趨勢に基づいて、将来の売上一局を予測するわけだ。そのために用いられるのが、月間比と呼ばれる数値である。

月間比とは、年間売上高を100%としたときの、各月の売上高の年間売上高に対する割合(年間売上構成比)のことで、次の式で算出する。
月間比=(各月売上高/年間売上高)×100

上記2表の(表2)は、(表1)の売上実績を基に算出した月間比の例である。表1には、過去三年間(三期分)の各月売上高の平均値も出ているが、この平均値を利用して算出する売上高趨勢予測の数値を、季節指数と呼ぶ。これも将来予測の基準のひとつで、毎月の月次売上高管理に便利である(本章3項を参照)。

月ごとに売上高を見ると同じ動きを示す

月間比の算出が必要な理由は、飲食業の売上高は各月ごとにほぼ同じ動きをするからである。

たとえば、忘年会シーズンの12月は必ず売上げが上がるが、2月と8月は毎年ばったりと落ち込むとか、春休みや夏休み、冬休みのある月は毎年好調な売上げを記録する、といった月別パターンが必ずある。もちろん、飲食需要は景気その他の影響を受けやすいため、年度によって売上高の大小の変化はつきものだが、各月の傾向はほとんど変わらない。したがって、次年度においても、各月売上高の年間売上高に対する構成比の傾向は維持されると考えてさしつかえない。

過去三年間のデータを使えば予測精度は高まる

とはいえ、表2を見ればわかるように、月間比には年度によって多少のブレはある。当然のことである。

そのブレはほとんどの場合、コンマ以下のパーセンテージにおさまるのだが、売上げ規模が大きくなると、その多少の違いも大きな金額となってあらわれる。したがって、前年度だけの月間比によって次年度の各月売上計画に割り振るよりも、過去何年間かのデータを総合して割り振るほうが、予測精度が高くなる。 一般には、過去三年間のデータを基に算出する。その場合の算出式は、次のようになる。
予測月間比=(過去3年間の各月売上高合計/過去3年間の年間売上高合計)

また、過去のデータのなかでも前年度の売上実績を重要視する場合は、各月売上高、年間売上高ともに前年度を3倍したうえで3年分を合計する。

各月売上計画の算出法

各月売上計画は、この予測月間比によって作成する。その例が表3で、計算式は、次のようになる。
各月売上予算=年間売上予算×予測月間比
表3の場合は、年間売上予算1億7,000万円、過去三年間の売上実績は表1として算出してある。
なお、月間比は小数点第二位以下は四捨五入するため、若千の誤差が出る(合計がぴたり100%にならない)が、振り分けやすい月の売上予算で調整する。

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著者紹介:宇井 義行
コロンブスのたまご 創業者・オーナー

学業のかたわら、18歳から飲食店で働きながら実践的な飲食業を学び、23~25歳で6店舗の飲食店経営を手掛け、超繁盛化。赤字店の1ヶ月での黒字化など奇跡を起こし注目を集める。 26歳の時、実践的な「飲食コンサルタント」として独立。個性的な店、地域一番店を目指し、情熱ある現場直接指導に力を注ぎ、 全国の飲食店3000店舗以上を指導。指導歴日本一のフードコンサルタントとして数多くの難問を解決。不振店を繁盛店へと生まれ変わらせる手腕は業界屈指のリーダーとして国内外で高く評価されている。