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成功には立地を診る目が不可欠

成功には立地を診る目が不可欠

飲食店の成功要因は「店舗力」が七割、「経営者力」が三割というのが私の持論である。
https://egg-recruit.com/book/2019/07/05/繁盛は店舗力70%と経営者力30%で決まる/
店舗力の第一の基本は、立地の選定と、その立地特性への適応力だ。いかに立地にマッチした業種業態のお店をつくるかが成功の別れ日になるわけで、確実に成功するには、立地を正しく診断する目が不可欠になる。

では、立地を診るとはどういうことなのか。これには二つの視点がある。

まず、自分の出店したいお店の業種業態が決まっている場合。この場合は、その業種業態のターゲットとなる客層が十分にいるかどうかということが、最大のポイントになる。立地調査ではよく店前通行量調査を行うが、大事なのは人通りの数ではない。どんな層の人たちが多いか少ないか、その内容なのだ。

ということは、どんな客層と利用動機が多いのかを正確につかむことで、その立地に適した業種業態を決めることもできる。これがもうひとつの視点である。

たとえば、何か飲食業をやりたいと思っていたところ、手頃な値段の居抜き物件が見つかったとする。さて、どんなお店をオープンするか。迷うところだが、ここで安易に業種業態を決めてしまってはいけない。立地の特性を見極め、その特性を生かせる業種業態のお店づくりをめざす。これが成功の鉄則なのである。

したがって、もしもどうしても自分のやりたい業種業態があるのなら、なんとしてもその業種業態に適合する立地を探し出さなければならない。実際、繁盛店のなかには、物件探しに1年も2年もかけたというケースが少なくないが、そういうお店は、中途半端な妥協をせずに適合立地を探し続けたからこそ、成功できたのである。

物件探しをしていると、不動産業者が「お薦めの物件」とアピールしてくることがよくある。しかし、その言葉を鵜呑みにしてはいけない。別に業者を信用するなといいたいのではない。なにしろ物件の専門家だ。業者の話は大いに参考になるだろう。しかし、不動産業者のいうことはあくまで一般論であって、特定の業種業態の立地としてどうかということに精通しているわけではないのだ。

だから、立地条件の診断では、土地勘をつかめるかどうかが非常に大事なポイントになる。不動産業者の話で判断するのではなく、オープンするお店の業種業態を前提にした自分の頭で診断しなければならないからだ。

立地調査の方法については別項で述べるが、土地勘をつかむには、とにかく足を使うことである。何度も何度もその場所に通い、物件の周辺をくまなく歩いてみる。それを繰り返しているうちに、自然と町の様子が見えてくるようになるものだ。

次に、町を観察するポイントを挙げておこう。
・どんな業種業態のお店が多いのか、逆に少ないのか
・それらのお店の競合の状況はどうか
・どんな人たち(客層)が多く歩いているのか
・時間帯や曜日によって客層はどう変化するのか

主要な客層から考えて、あってもよさそうな業種業態(実際にはない、または極端に少なじは何か。これらのポイントを頭に入れて町を歩いてみると、景色の見え方がそれまでとはまったく違ってくるはずだ。こんなところにお店があるとか、あっていいはずの場所にないとか、こんな業態のお店はこの場所ではむずかしいだろうと思うなど、飲食店立地として町を見る目が肥えてくるのである。

飲食店ビジネスは、店舗をつくつてオープンすればいいというものではない。確実にお客様を呼び込むことができてはじめて、オープンする意味がある。だから、なんといってもオープンする場所(立地)とその立地条件への適応力が重要になる。この二つをクリアしないでオープンするのは、はっきりいつてバクチ以外の何物でもない。

とくに、居抜き店舗はほとんどの場合、前の経営者が失敗した店舗である。それを活用して成功しようというのだから、立地を診る日はよリシビアで正確でなければならない。たしかに簡単なことではない。しかし、そこをクリアするからこそ、低投資での成功を実現できるのである。

著者紹介:宇井 義行
コロンブスのたまご 創業者・オーナー

学業のかたわら、18歳から飲食店で働きながら実践的な飲食業を学び、23~25歳で6店舗の飲食店経営を手掛け、超繁盛化。赤字店の1ヶ月での黒字化など奇跡を起こし注目を集める。 26歳の時、実践的な「飲食コンサルタント」として独立。個性的な店、地域一番店を目指し、情熱ある現場直接指導に力を注ぎ、 全国の飲食店3000店舗以上を指導。指導歴日本一のフードコンサルタントとして数多くの難問を解決。不振店を繁盛店へと生まれ変わらせる手腕は業界屈指のリーダーとして国内外で高く評価されている。