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立地特性を見抜く(2) -商店街-

立地特性を見抜く(2) -商店街-

商店街は飲食店に限らず、小さな個店にとって典型的な立地である。さまざまな商店があるが、ほとんどは昔からの生業店というケースが圧倒的に多い。最近は有名チェーン店も積極的に出店するように用するお店ばかりである。

商店街にもいろいろあるが、ここでは、小さな飲食店が出店しやすい、私鉄沿線などの駅前商店街について考えてみよう。

商店街は地域のニーズのある商店、飲食店が集まっているわけだから、メインストリートは人通りが多い。その意味では一見、繁華街に似ている立地ともいえる。

しかし、繁華街とこの立地が決定的に違うのは、商店街の通行人には土地カンがあるという点だ。なにしろ、地元の人たちの生活圏内なのである。しかも、繁華街と同様に客層は幅広い。いろいろな商店、飲食店が成り立つのもそのためであり、だからこそ無名の小さな個店が出店しやすいのである。

したがってこの立地では、お店の営業方針は地元密着が大原則である。地元密着は小さな個店の成功のポイントでもあるわけだが、とりわけこの立地では、地元客の評判を取って固定客化することが成功の最大のポイントになる。

次に、この立地に適した業態だが、繁華街のようなハレの場所ではないということに注意したい。商店街はあくまで、地元の人たちの生活の場である。日常生活の延長線上にある。そのため、お客様の消費単価はそれほど高くない。たまにちょっとぜいたくするとか、応接問代わりに利用するといった、気軽な利用動機が多いからだ。

したがって、この立地では高級業態は成立しにくい。ちょっとぜいたくするといっても、サイフが痛むほどの出費は期待できないのである。価格設定はあくまでポピュラープライスの範囲内に収めて、なおかつ非日常的な利用動機にも対応する。そういうお店づくりに徹することができれば、成功しやすい。

もちろん、日常的利用動機を狙うというやり方も十分通用する。要はコンセプトの立ち方次第なのだが、日常的利用動機狙いの場合は、有名チェーン店や大型店とバッティングしてしまうことがよくある。

また、いまは出店していなくても、そのうち進出してくるという可能性もある。そこは慎重に検討しなければいけない。

また、この立地の場合、土地カンのある地元客が相手なのだから、家賃・保証金の高い駅前とか商店街の中心部にこだわる必要はない。裏通りとか路地裏といった二等地でも、やり方次第で十分に成り立つ。

しかし、一般の商店街では、一等地といっても繁華街のように家賃・保証金がべらぼうに高いわけではない。それなら、無理のない範囲内であれば、多少高くてもできるだけ有利な立地を確保したほうがいい、という考え方もできる。

著者紹介:宇井 義行
コロンブスのたまご 創業者・オーナー

学業のかたわら、18歳から飲食店で働きながら実践的な飲食業を学び、23~25歳で6店舗の飲食店経営を手掛け、超繁盛化。赤字店の1ヶ月での黒字化など奇跡を起こし注目を集める。 26歳の時、実践的な「飲食コンサルタント」として独立。個性的な店、地域一番店を目指し、情熱ある現場直接指導に力を注ぎ、 全国の飲食店3000店舗以上を指導。指導歴日本一のフードコンサルタントとして数多くの難問を解決。不振店を繁盛店へと生まれ変わらせる手腕は業界屈指のリーダーとして国内外で高く評価されている。