クルマ社会の成熟がいわれて久しいが、この傾向はますます強くなっている。とくに都市近郊のエリアでは、郊外型の大規模なスーパーやショッピングセンターなどが次々にオープンして、マイカー利用の郊外型の行動パターンに拍車をかけている。そして、人が動けば飲食需要も生まれる。ロードサイドの飲食店立地としての可能性はどんどん大きくなっているといえるだろう。
ところで、ロードサイド立地というと、ファミリーレストランなどの大手チェーンの独壇場と思われているようだが、実はそんなことはない。最近はこの立地での個店の成功例が非常に増えている。いまお客様はお店選びの目が肥えている。最近、フアミリーレストランが頭打ちといわれるのは、お店の雰囲気から商品まで、何から何まで画一的なチェーンにお客様が飽きてしまったからである。もちろん、フアミリーレストランしかなければ利用する。しかし、ほかにもっと個性的で楽しいお店があれば、そっちに行きたいと思っている。だから、個店のよさを強烈にアピールするお店づくりができれば、
ただし、この立地を開拓しただけに、フアミリーレストランに学ぶことはある。たとえば、看板。どのファミリーレストランでも、かなり遠方から見分けのつく大きな見やすい看板を出しているが、これには大事な理由がある。
クルマはスピードを出して走ってくる。そして、ギャグではないが、クルマは急には止まれない。つまり、クルマ客にお店の存在に気づいてもらうには、看板の遠視性が非常に重要になるわけだ。チエーンは別に見栄で大きな看板を掲げているわけではない。
ただ、こういう看板はお金がかかる。この投資ができないのであれば、ロードサイド立地での出店はやめておくべきである。住宅地立地などの場合なら、路地奥の目立たない、隠れ家的なお店づくりというコンセプトも成り立つが、この立地ではそれはあり得ない。とにかく遠くからでも目立つこと。このアピールに全力を傾けなければ成功はない。
さて、この立地での最大のポイントはいうまでもない。お店の前のクルマの通行量である。近隣に住宅地が控えていれば、徒歩や自転車利用などの地元住人の来店も見込めるが、基本はあくまでクルマ利用客である。ある程度の通行量がなければ成り立たないというのが、この立地の最大の特徴なのだ。
したがって、店前通行量調査は念入りに行う必要がある。そして、この時に注意しなければならないのは、自店を利用できるクルマの通行量を調べるということだ。たとえば、幹線道路など中央分離帯のある道路だと、反対車線のクルマはお客様にならない。分離帯がなくても、通行量の激しい道路の場合、
反対方向のクルマはほとんどアテにできないことになる。また、十分な駐車場のスペースも確保しなければならない。