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立地特性を見抜く(1) -繁華街-

立地特性を見抜く(1) -繁華街-

いうまでもなく繁華街とは、人がたくさん集まる街である。朝から晩まで、とにかく人が多い。そして、人が集まれば、その人たちを目当てにしたさまざまな商業施設も集中する。飲食店もそのひとつで、どこの繁華街も飲食店を探すのに苦労することはない。名前の通ったチェーン店や大型店もほとんどが出揃っている。

繁華街を歩く人たちの目的はいろいろだ。デパートに買い物に来た人もいるし、映画を見に来た人もいる。なんとなくブラブラ散歩するとか、ウインドーシヨツピングを楽しむという人も少なくない。

目的が何にしろ、繁華街に来た人たちに共通するのは、まず「わざわざ出かけてきた」ということと、必ずといっていいほど外食するということだ。昼間ならランチやお茶を楽しみ、夕方からはデイナーとなるが、せつかくわざわざ出てきたのだからと、ふだんよりも予算が高い人が圧倒的である。つまり、非日常的利用動機も豊富に存在しているということだ。

繁華街のもうひとつの特徴として、土地カンのない人が多いということがある。なにしろ、この街に集まるのは、大半がわざわざ出かけて来た人たちだ。デパートとか映画館ならどこにあるか知っているが、たまにしか来ないのだから飲食店の利用経験は極端に少ない。そのため、飲食店のお客様の大半はフリ客ということになる。

フリ客とは、たまたま入ってくれるお客様のことである。ふつうの立地なら、フリ客を固定客につなげることが可能だ。ところが、この立地のフリ客は、ほとんどが再来店を期待できない。一過性のお客様で終わってしまう。それでも繁盛しているお店が多いのは、人の数が圧倒的に多いためである。

また、街の様子をよく知らないフリ客の行動パターンとして、名声に弱いということもある。名前の通ったお店なら安心という心理が働くのである。そのため、有名チェーンや大型店は有利だが、小規模の一般のお店は不利になるという傾向が強い。

しかも、フリ客は安心できる場所を選びたがる。だから、気軽に利用してもらえるのは、メインストリートに面した立地が圧倒的で、路地に入ってもせいぜい一、二本までである。繁華街といっても路地裏に入れば、家賃・保証金も少しは安くなるが、繁華街らしい人通りはとても望めない。

したがって、 一般の小さな個店にとって、繁華街はけっして有利な立地ではないわけだ。もちろん成功例もたくさんある。しかし、成功のハードルは非常に高いということを覚悟しなければならない。それでも確実性のあるコンセプトという自信がなければ、高い家賃・保証金を払ってまで出店する意味はないだろう。

あえて小さな個店の狙い目を探せば、デパートなどで働く人たちをターゲットにすることくらいである。

著者紹介:宇井 義行
コロンブスのたまご 創業者・オーナー

学業のかたわら、18歳から飲食店で働きながら実践的な飲食業を学び、23~25歳で6店舗の飲食店経営を手掛け、超繁盛化。赤字店の1ヶ月での黒字化など奇跡を起こし注目を集める。 26歳の時、実践的な「飲食コンサルタント」として独立。個性的な店、地域一番店を目指し、情熱ある現場直接指導に力を注ぎ、 全国の飲食店3000店舗以上を指導。指導歴日本一のフードコンサルタントとして数多くの難問を解決。不振店を繁盛店へと生まれ変わらせる手腕は業界屈指のリーダーとして国内外で高く評価されている。