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飲食店メニュー価格の決め方

飲食店メニュー価格の決め方

メニュー価格をいくらに設定すればいいのか。これは素人でなくても大いに悩むところだろう。お客様の入りが価格設定に左右されることは明らかだが、だからといつて安くしすぎたら儲からない。いろいろ考えた揚げ句、結局は商圏内の同業他店の価格設定に追随するというのが、もっとも多いパターンである。

たしかに、この考え方はもっとも無難な考え方といえる。すでに長年営業している他店と同じ設定なら、少なくとも「高い」とは思われないだろう。また、同じ価格であれば、他店との違いを出しやすいという意見もある。要するに、お客様が比較しやすいというわけだ。これも間違いとはいえない。

しかし、飲食店の価格設定でもっとも大切なことは「お値打ち感」があるかどうかということなのだ。そして、お値打ち感は単純な価格の比較だけで判断されるわけではない。他店と比べて多少高くても満足することもあるし、逆に、けつこう安く上がったのに「高くついた」という印象を持ってしまうこともある。

飲食店成功のキーワードのひとつに「リーズナブルプライス」がある。リーズナブルとは、たんに安いということではない。お客様にとっての「適正価格」という意味である。

では、何が「適正」の根拠になるのかといえば、お客様の満足度である。支払う金額に対して十分な、あるいはそれ以上の満足感を得ることができれば、それはリーズナブルプライスということになる。だから、高くても「安い」と感じる場合もあれば、安くても「高い」と感じてしまうこともあるわけだ。

もうひとつ、価格設定で大事なことは、お客様の買いやすい価格に設定するということだ。お客様の予算は客層と利用動機によつて決まる。そして、どの客層と利用動機を狙うかによって、お店の業態も決まるわけだが、その狙う客層と利用動機に対して、値頃感のある価格に設定することが大切なのだ。

意外と知られていないことだが、そもそも商品開発とは価格を優先して進めるものである。もしも売りたい商品が、狙う客層や利用動機が許容してくれる価格を超えてしまつたら、その価格で収まるように材料や調理方法などを検討し直す。これが正しい商品開発のあり方で、だからこそお客様に対する強力な訴求力を持つことができる。

反対に、原価にいくらかかつたからこの設定にする、という考え方もある。まず原価率を決めて、単純に材料費を連動させるやり方だ。しかし、たとえおいしい料理に仕上がったとしても、値頃感が感じられなければ、お値打ち感がない。

高いのだから、おいしくて当然ではないかということになってしまう。これでは、お客様の支持は得られない。おいしさは絶対のものではないのだから、お客様はもっとお値打ちの高いお店に流れていつてしまうのである。

では、具体的にどう価格を設定すればいいのか。設定の根拠となるのは、商圏内の金銭感覚である。金銭感覚は地域によってかなり違うものだ。都市と郊外でも違うし、繁華街と住宅地でも違う。立地が違えば当然のことだが、お客様に確実に値頃感をアピールするには、出店立地の商圏内の金銭感覚をできるだけ正確につかむ必要がある。

地域の金銭感覚を知るには、商圏内のできるだけ多くのお店をお客様として利用してみることだ。 一店や二店ではサンプルにならない。また、同業種同業態のお店だけでなく、別業態のお店も利用してみることが大切だ。なぜかというと、いろいろな業態を見ることで、その地域にどんな客層のどんな利用動機が、どれくらい存在しているかをつかむことができるからである。

調査では、各店がもっとも売りたがっている価格、もっとも支持されている価格、そして、各店でもつとも手薄になっている価格帯をチェックする。その結果を自店のコンセプトとすり合わせ、どの設定なら受け入れられるかを検討するのである。

一般論としては、他店の上限価格より高くしないのが原則だ。さらに、競合店との正面からの激突を避けるため、多少安く設定するのが無難とされるが、必ずしもそうではないことを注意しておきたい。

大切なのは、商圏内のニーズの読み込みだ。ニーズに対して、他店の設定価格が上限になっているとは限らない。つまり手薄になっている価格帯があるものだ。そこを狙って勝算があるのなら、挑戦してみる価値はある。

著者紹介:宇井 義行
コロンブスのたまご 創業者・オーナー

学業のかたわら、18歳から飲食店で働きながら実践的な飲食業を学び、23~25歳で6店舗の飲食店経営を手掛け、超繁盛化。赤字店の1ヶ月での黒字化など奇跡を起こし注目を集める。 26歳の時、実践的な「飲食コンサルタント」として独立。個性的な店、地域一番店を目指し、情熱ある現場直接指導に力を注ぎ、 全国の飲食店3000店舗以上を指導。指導歴日本一のフードコンサルタントとして数多くの難問を解決。不振店を繁盛店へと生まれ変わらせる手腕は業界屈指のリーダーとして国内外で高く評価されている。