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飲食店にとって最も信頼できる資金の借入先は?

飲食店にとって最も信頼できる資金の借入先は?

ひと昔前までは、銀行や信用金庫で借り入れるのが当たり前だったが、すでに過去の話である。いまの民間金融機関は、中小企業や個人事業への融資には非常に消極的になっている。いわゆる「貸し渋り」である。

それでは融資は受けられないのかというと、そんなことはない。政府系の公的金融機関を利用すればいい。一般にはあまり知られていない金融機関だが、融資限度額が大きく、金利も極めて低い。そもそも公的資金は、資金の足りない零細事業者の支援が目的だから、銀行などのような貸し渋りはない。

飲食店の開業の場合、一般には、国民生活金融公庫が扱っている「かんえい融資」を利用することが多い。低利の固定金利で長期返済だから、最も有利で安心な融資先といって間違いない。設備資金としての一般貸付の上限は7200万円(返済期間13年以内、据置期間は1年以内)。もちろん、だれにでも限度額まで融資してくれるというわけではないが、通常の小さな飲食店の開業費用であれば、まず何とかなるはずだ。

この融資は、脱サラなど、これまで飲食業に従事していなかった人でも受けられる。国民生活金融公庫、または代理店(銀行、信用金庫、信用組合、商工中金)の窓口で相談に乗ってもらえる。

また、飲食店開業の場合は、各自治体の融資制度を利用するのもいいだろう。有利な融資を確実に受けようとするなら、アンテナを張り巡らせて資料を集め、とにかく当たってみることだ。

ところで、借入先は何も金融機関と限つたことではない。いちばん手近な方法は、身内(親、兄弟、親戚等)や知人から借りるという方法だ。この借金のやり方にはいろいろな意見があるようだが、私は悪い方法とは思わない。

もちろん、たんなる親掛かりの甘えん坊というのでは、開業後の経営が心配になるし問題だろう。しかし、金融機関と同じように、きちんと借りるのであれば、何の問題もない。むしろ、身内や知人なら、経営が軌道に乗るまでの苦しい時期などに返済を猶予してもらえるなど、メリットがあるといっていい。ちょっとした金額の支払いが滞ったために事業を台なしにすることほど、馬鹿馬鹿しいことはない。ただし、相手がだれであろうと、適正な金額の金利は必ず支払わなければいけない。

借金というと抵抗感のある人もいるが、どこの会社でも借金によって成り立っている。借金というから話がヘンになるわけで、事業の立ち上げ資金を借りるのは、融資を受けるという経済行為であってやましいことではない。

また、借金がないと経営が甘くなりがちなのに対して、返済のプレッシャーがプラスに働くということも見逃せない。もともと、飲食店の経営というのは、適正な範囲内の借金であれば、無理なく返済できて利益も出る構造になっているのである。

開店準備で最も大切なことは、必要な資金を間違いなく調達することだ。そのための方法は、可能な限り追求すべきである。

著者紹介:宇井 義行
コロンブスのたまご 創業者・オーナー

学業のかたわら、18歳から飲食店で働きながら実践的な飲食業を学び、23~25歳で6店舗の飲食店経営を手掛け、超繁盛化。赤字店の1ヶ月での黒字化など奇跡を起こし注目を集める。 26歳の時、実践的な「飲食コンサルタント」として独立。個性的な店、地域一番店を目指し、情熱ある現場直接指導に力を注ぎ、 全国の飲食店3000店舗以上を指導。指導歴日本一のフードコンサルタントとして数多くの難問を解決。不振店を繁盛店へと生まれ変わらせる手腕は業界屈指のリーダーとして国内外で高く評価されている。