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前の経営者が撒退した理由を調べる

前の経営者が撒退した理由を調べる

当たり前のことだが、居抜き店舗は、以前にだれかが経営していた店舗である。その経営者が何らかの事情で、その店舗での商売をやめることになった。そこで、少しでも元を取り返そうと売りに出されているわけだ。

問題は、その「事情」である。商売をやめるといつても、理由はいろいろ考えられる。たとえば、もっともありそうなのは売上不振から撤退を余儀なくされてしまつた、というケースだろう。家賃・保証金が高めの立地の場合は、とくにこのケースが考えられる。なにしろ、毎月の家賃は飲食店にとって大きな負担である。そこそこの売上があつても、家賃に吸い取られてしまつて利益が出ないというのは、都心などの一等地立地のお店でよくあることだ。

逆に、繁盛店に成長して店舗が手狭になったとか、もつといい立地でさらに飛躍したいという理由で移転する、というケースもあるのが飲食業の世界だ。最初は一〇坪ほどの小さなお店だったのが、数年後に移転して、内装も立派なお店になつたというのも、別に珍しい話ではない。

また、経営状態が追い詰められているというほどではないが、あまりうまみがなくなつてしまつたので撤退するということもある。たとえば、オープンした頃は競争相手もあまりなくて順調だったのに、商店街が発展したことで競合店が増え、シビアな経営を迫られるといったケースだ。同業態で強力なライバルが出現したことがきっかけで撤退というのも、ひとつの経営判断である。

経営者が引退したための撤退というのもある。評判がよく経営は安定していたのに、後継者が見つからない。貯金もできたし、体力的にきつくなってきたから、この辺でやめてのんびり暮らそうというわけだろう。

以上は、 一般的に想定される撤退の理由だが、注意しなければいけないのは、傷害事件など問題が起きたために営業しづらくなった、というケースである。別にお店側に責任があるわけではなく、お客様同士のケンカだつたりしても、事が大袈裟になると、やはり客足は遠のいてしまいやすい。問題は、その事件などの印象が根強く残っている場合、店舗のイメージと重ねられてしまうことだ。お店の経営者も内容も変わったのに、それが理解されにくいというハンデイを背負ってしまうことになるからだ。

したがって、居抜き店舗を活用する場合は、撤退した前のお店の評判や撤退の理由について、 一応は調べておく必要があるということになる。調査といっても簡単で、物件の近所のお店などで聞いてみれば、ある程度の推測は可能だ。ただ、いまのお客様は過去がどうだったかということにあまりこだわらなくなっているから、昔のように神経質になる必要はない。警察沙汰などよほどのことがない限り、支障にはならない。むしろ、前のお店の評判を自分のお店づくりの参考にするという意味で、調査することをお薦めする。

著者紹介:宇井 義行
コロンブスのたまご 創業者・オーナー

学業のかたわら、18歳から飲食店で働きながら実践的な飲食業を学び、23~25歳で6店舗の飲食店経営を手掛け、超繁盛化。赤字店の1ヶ月での黒字化など奇跡を起こし注目を集める。 26歳の時、実践的な「飲食コンサルタント」として独立。個性的な店、地域一番店を目指し、情熱ある現場直接指導に力を注ぎ、 全国の飲食店3000店舗以上を指導。指導歴日本一のフードコンサルタントとして数多くの難問を解決。不振店を繁盛店へと生まれ変わらせる手腕は業界屈指のリーダーとして国内外で高く評価されている。