お店のアプローチ=外観は、いわばお店の顔である。顔ということはつまり、お客様に対してもっともインパクトがある部分のわけだ。
人間の場合で考えてみるとわかりやすい。初めて会った人がどんな人か判断する時、その人の顔の持つ役割は非常に大きい。美人だとかハンサムだということではなく、その人の人柄が読み取れるからだ。
誠実な人か、やさしい人か、それとも信用できない人か、顔を見た第一印象で、なんとなく判断するものである。
もちろん、その人の本当の姿は、顔だけではわからないだろう。しかし、ふつう人間は、自分の第一印象を無意識に優先するものだ。だから、初対面の人でも、すぐに打ち解けたり警戒したりと、対処の仕方が違ってくる。
お店の場合も同じである。初めて利用する人にとって、お店の外観の第一印象は非常に大きな意味を持つ。前節で看板の重要性について述べたが、看板が目に止まったからといつて、必ずお客様になってくれるとは限らない。だれにとっても、初めてのお店というのは不安なものだからである。
初めて利用する人にとって、迷う材料はいっぱいある。自分の知っているお店とどう違うのか、店内の雰囲気はどうなのか、感じはいいのか、料理はおいしいのだろうか、などなど。そういう不安をなくしてあげて、さらに「入ってみたい」と思わせる。それが店舗の外観の役割である。
一般の飲食店でもそうなのだ。前のお店を活用する居抜き店舗の場合、外観はさらに重要な役割を担うことになる。前のお店のイメージをまったく感じさせない、新しいお店としてのアピールカを持たなければいけないのだ。
お客様が入りたくなる外観は、まず感じのよさがあること。これが基本である。もちろん、デザインはお店の業種業態によつていろいろ変わってくる。しかし、どんな業種業態であろうと、どんなデザインであろうと、お店への期待感を持たせられる外観になっていなければならない。
期待感を持たせるにはまず、第一印象の感じがよくなければいけないわけで、同時に、デザイン的なセンスのよさも不可欠である。世の中には、見た日は悪くても中身はいいということもあるが、少なくとも飲食店にはそれはない。また、看板と同様に目立つ外観にしてお客様の目を引きつけるというのも大事なことである。
外観の改装では、見た目の印象を思い切って変えることが基本になる。「新しいお店」としてのイメージチエンジを強烈にアピールすることで、前のお店の記憶を消してしまうのである。といつても、必ずしも大袈裟な工事が必要になるわけではない。壁を塗り替えるとか入日付近だけ手を入れるといった部分的な改装でも、まったく別のお店に見せることは十分にできる。要はセンスの問題だ。