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居抜き店舗改装のポイント(4) -厨房-

居抜き店舗改装のポイント(4) -厨房-

居抜き店舗の場合、基本的には厨房の改装の必要はない。というより、前のお店の厨房を流用することこそが、この店舗のメリットなのだから、できれば改装は避けたいところだ。

しかし、前のお店がどういうお店だったのか、また、オープン後何年くらいたつているお店なのかといったことで、事情もいろいろと変わってくる。

たとえば、前のお店が自分のやろうとするお店とまっく同じ業種業態だったとしよう。その場合、基本的には譲り受けた厨房をそのまま使用できるはずである。しかし、長年営業していたお店の場合、設備機器類によっては性能が落ちていたり、使い勝手が悪くなっていることも十分にあり得る。もちろん、契約の際には、その辺のチェックもきちんとして、使えない設備機器類があればその分、造作譲渡代金を安くしてもらうなどの交渉をしなければならないわけだが、そういう時は新たに購入するしかない。

一方、業種業態を変える場合は、厨房の設備機器類にもあちこち変更箇所が出てくることになるだろう。しかしその場合でも、使えるものはできるだけ使うというのが、居抜き店舗での基本である。

ところで、厨房というのは、必要な設備機器類が揃ってさえいればいいというものではない。それは絶対に必要な条件だが、もうひとつ、大切なことがある。それは、働きやすい厨房にするということだ。

たとえば、厨房機器メーカーのショールームなどに行くと、各機器類が整然としたレイアウトで展示してあったりするが、それが自分にとっての働きやすい厨房とは限らない。

そして、居抜き店舗を活用する場合は、この働きやすいという点で、多少のことは目をつぶらなければならない。しかし、それは使いにくさを諦めるということではない。

たとえば、調理台の高さが低すぎる時は台の高さを調節するとか、面倒がらずに工夫を凝らして、少しでも使いやすい厨房にするよう知恵を働かさなければいけないということだ。使い勝手というのは、ちょっとしたことで大きく変わるものである。

ただし、排気に問題がある場合は、きちんと改装しなければならない。もちろん、排気・空調関係で工事が必要かどうかということは、契約時に確認しておかなければならないことだが、逆にいえば、その工事をしてでも買い得な店舗かどうかという判断が先になることはいうまでもない。

また、厨房内の空調にも十分に気を遣うべきだ。それでなくても自分の思い通りの設備機器類やレイアウトではないのである。せめて冷暖房くらいはちゃんと効かないと、長時間の労働が続かなくなってしまう。自分は我慢できても、スタッフが長続きしない。

要は予算との兼ね合いの問題だが、厨房ではとくに、必要なこととそうでないこととを明確に区別してかかることが大切である。

著者紹介:宇井 義行
コロンブスのたまご 創業者・オーナー

学業のかたわら、18歳から飲食店で働きながら実践的な飲食業を学び、23~25歳で6店舗の飲食店経営を手掛け、超繁盛化。赤字店の1ヶ月での黒字化など奇跡を起こし注目を集める。 26歳の時、実践的な「飲食コンサルタント」として独立。個性的な店、地域一番店を目指し、情熱ある現場直接指導に力を注ぎ、 全国の飲食店3000店舗以上を指導。指導歴日本一のフードコンサルタントとして数多くの難問を解決。不振店を繁盛店へと生まれ変わらせる手腕は業界屈指のリーダーとして国内外で高く評価されている。