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飲食店でのお客様のお迎えの仕方

飲食店でのお客様のお迎えの仕方

お迎えの仕方を見れば、そのお店がお客様をどう考えているのかがよくわかる。なぜなら、お客様のおもてなしはお迎えから始まるからである。飲食店に限つたことではないが、お迎えを省略したおもてなしなどあり得ない。だからお客様は、どういうお迎えの仕方をされたかで、自分が本当に歓迎されているのかどうかを即座に判断できるわけだ。

言い替えれば、お客様はお店のお迎えの仕方だけで、つまり、第一印象だけで、自分にとつて価値のあるお店かどうかを判断してしまうことだ。これがどういう意味を持つのか、いうまでもないだろう。

お客様がお店に入って来てからの、ほんのわずかの時間での対応の仕方が、固定客が一人増えるか、それともお客様を一人(グループのヽ」ともある)失うかの別れ道になってしまうのである。こう考えると、お客様の「お迎え」がいかに大切な仕事なのかがよくわかるはずだ。

お客様にとつて気分のいい上手なお迎えができれば、お客様の支持は確実に増える。なぜなら、お客様というのはだれでも、自分を歓迎してくれるお店を探しているからだ。

お客様にとって最高のお店とは、ガイドブツクなどの常連のお店でも名前の通ったお店でもない。自分を大事にしてくれるお店こそが「いいお店」なのである。どんなに料理がおいしくても、ぞんざいに扱われるようなお店に好んで出かけていく人はいない。そういうお店と知っていながら、わざわざそんなお店を利用するなど、お金をドブに捨てるようなものだろう。

さて、お客様に最高のお店と思ってもらえるようになるには、まず「いらつしゃいませ」という接客用語について深く考える必要がある。いうまでもなく、飲食店ならお客様が来店したら「いらつしゃいませ」と挨拶するのが常識だ。

この常識というところに、実は落とし穴がある。あまりに当たり前の挨拶のため、どういう意味を持つ接客用語なのかということまで考えようとしないのだ。だから、ただ機械的に繰り返すということになってしまう。要するに、お客様を歓迎する言葉として響かないのである。

この「いらつしゃいませ」という言葉には、次の三つの意味が込められていなければならない。

①来店してくれたことに対する感謝の気持ち
②大切なお客様と認めていることを示す意思表示
③お客様に楽しく豊かな時間を過ごしてもらうためのきっかけづくり

どうだろうか。ふつうの飲食店であれば、①の意味くらいは「ありがとうございました」とセットで、スタツフに教えているだろう。では、②と③についてはどうだろうか。 一人ひとりのお客様を、本当に「大切なお客様」と考えるように指導しているだろうか。さらに、お客様ができるだけいい気分で過ごせるようにという気持ちを込めて、この言葉をかけているだろうか。

飲食店にとってお客様は、だれよりも大切な人である。そして、飲食店の仕事はお客様に喜んでもらえるように尽くすことだ。お客様のお迎えはそのスタートなのだから、お客様が期待感をふくらませられるような対応でなければいけない。

お客様にとつて、はじめてのお店に入るのは不安なものだ。どんなお店なのかわからないし、ほかにどんなお客様がいるのかも気になるだろう。自分にとって居心地のいいお店なのかどうか。なんとも落ち着かない気分だろう。

お客様は、そんな気分から解放してくれる、お店のスタツフの救いの手を待っているのである。だからこそ、①だけでなく、②と③の気持ちを持って心から歓迎しているということを、わかりやすくお客様に伝えなければいけないのだ。

一方、何度か来店してくれているお客様、あるいはすでに常連になってくれているお客様に対しては、「ひいきにしていただいて、ありがとうございます」という、もうひとつの感謝の気持ちを伝えなければいけない。

飲食店のサービスは「平等に」が基本だが、だれでもかまわず同じ扱いをするのが平等ということではない。ひいきにしてくれるお客様と初めてのお客様では、対応に違いがあって当然だ。ただし、初めてのお客様に嫌らしく見えるような出迎えではいけない。「今日はお一人ですか」など、ちょつとしたひと言を付け加えるだけでいいのである。

著者紹介:宇井 義行
コロンブスのたまご 創業者・オーナー

学業のかたわら、18歳から飲食店で働きながら実践的な飲食業を学び、23~25歳で6店舗の飲食店経営を手掛け、超繁盛化。赤字店の1ヶ月での黒字化など奇跡を起こし注目を集める。 26歳の時、実践的な「飲食コンサルタント」として独立。個性的な店、地域一番店を目指し、情熱ある現場直接指導に力を注ぎ、 全国の飲食店3000店舗以上を指導。指導歴日本一のフードコンサルタントとして数多くの難問を解決。不振店を繁盛店へと生まれ変わらせる手腕は業界屈指のリーダーとして国内外で高く評価されている。