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バート・アルバイトを最大限に活用する (1)軽くみてはいけない

バート・アルバイトを最大限に活用する (1)軽くみてはいけない

出来、不出来で店の評価が下される

先にも述べたように、いまや飲食店の経営はパート・アルバイトの労働力抜きには考えられない時代である。お店の総労働時間の70〜80%がパート・アルバイトというお店も珍しくはないし、ファーストフードチェーンに至っては、実に90%がパート・アルバイトで占められている。

これほどパート・アルバイトに依存する比率が高まっているのにもかかわらず、いまだに彼らを「使い捨ての単純労働力」と見下す風潮がある。そのためパート・アルバイトのほうも、自分たちは補助的な労働力で、仕事への責任度も低い(あるいはほとんどない)と思い込んでしまう傾向がある。困ったことである。

パート・アルバイトといっても、一日の労働時間、あるいは週・月の労働時間が社員に比べて短いこと、あるいは学生アルバイトのように一定期間だけの短期労働であることを除けば、その仕事の内容は社員ととくに変わりがあるわけではない。社員であろうとパート・アルバイトであろうと、お客にとっては等しく、お店の従業員なのである。ここが大事なところだ。

つまり、パート・アルバイトにも社員と同じ働きをしてもらわなければならないわけだが、労働力としての依存度が高ければ、お店の評価はパート・アルバイトの出来、不出来で決まってしまうということなのだ。パート・アルバイトを軽視していては、売上高は上がらないのである。

早く一人前に訓練し、気持よく働いてもらう――これも店長の仕事

飲食店のパート・アルバイト労働力への依存度が高い理由は二つある。ひとつは人件費が安くつくこと。

もうひとつは、お店の繁閑に応じた効率的な人員編成ができることである。

人件費については、すでに何度か述べてきたが、まず、同じ労働時間とすると、社員の40〜50%の金額ですむこと。そして、社員だと固定費になってしまう人件費を、変動費化できるというメリットがある。

他の産業に比べて生産性の低い飲食業において、確実に利益を出していくために不可欠のメリットである。

効率的な人員編成については、お店によってその効率の追求度に問題があるようだが、それは後で詳しく述べる。ここで考えなければならないことは、勤務時間の短さと教育・訓練の問題についてだ。

たしかに、お店の忙しい時間帯や曜日だけ出勤してくれるというのは、経営にとって大きなメリットである。しかし、それは実は机上の計算にすぎないのだ。

忙しい時間の従業員はいうまでもなく、暇な時間帯よりも高い能力を要求される。暇なときなら多少まごついたりしても、仕事の流れに大きな影響は出ないが、ピーク時はそうはいかない。少数の仕事の習得度の低い従業員のために混乱をきたし、パニックに陥ってしまう危険性が大いにある。現にランチタイムやディナ―タイムのたびに、ホールばかりか内厨房まで大混乱、というお店は少なくない。大型店ほどその危険性が高いし、混乱も大きくなる。従業員間の仕事のレベルの落差が、いちばん大切なチームワークをガタガタにしてしまうからだ。

こういう状況をお客がどう感じるのか。お客の満足はQSCの三要素で決まるといったが、サービスがこういう状態では、とても満足などしてもらえない。また、従業員間で仕事のレベルに差がありすぎると、従業員同士の人間関係もギクシャクしてくる。そうなると必ず、お店の雰囲気は暗くなる。これも、客数減少の大きな要因である。つまり、パート・アルバイトを採用することによって、たしかに人件費は圧縮できるのだが、肝心の売上高を落としてしまう可能性もまた、一方にあるということだ。

もちろん、パート・アルバイトは仕事ができないといっているのではない。いかにパート・アルバイトを訓練し、気持ちよく働いてもらうかは、店長の重大な責任だといっているのである。

軽く見る店長は、しっべ返しを食う

パート・アルバイトの給与は、社員に比べてはるかに低い。しかも、実際の仕事は社員とほとんど変わらない。それでどうして、パート・アルバイトは甘んじているのだろうか。諸悪の根源は、最初に述べたパート・アルバイト軽視の風潮である。「給与が安い代わりに、大した責任もない」というのが彼らの常識になってしまうのだ。

しかし、理由はそればかりではない。むしろ、もっと大きな理由といえるのが、彼らの働く目的である。パート・アルバイトが飲食店で働く動機は、いろいろあるだろう。主婦のパートタイマーなら、空いている時間を利用して小遣い稼ぎをしようとか、家計の足しに、という動機が多いが、なかには社会経験のためという人もいる。学生のアルバイトの場合も、たんなる小遣い稼ぎばかりでなく、バイクを買うとか、海外旅行の資金を貯めるといった、具体的な目的をもっている人も多い。

ここで大事なことは、どんな動機、目的にしろ、彼ら(の大多数)にとって一番の問題は、おカネを稼ぐことだということだ。飲食店の仕事がしたくて応募してくるのではない。つまり、どこで働くかは二の次の問題のわけである。だからこそ、時間当たりの給与や、その他の労働条件が社員より劣っていても、それを甘んじて受け入れているのである。

したがって、パート・アルバイトの教育・訓練に当たっては、サービス業としてのこの仕事の意義をよく理解させる必要がある。これをおろそかにすると結局は、お客のお店に対する評価を下げて、自分で自分の首を締めてしまうことになる。また、短時間のうちに習得させなければならないのだから、教える店長はかなりの訓練技術を要求されることになる。

パート・アルバイトを上手に使うというのは、実は大変なことなのだ。その代わり、きちんと教育・訓練すれば、計数的にも大きな戦力になる。つまり、パート・アルバイトはいわば両刃の剣なのである。パート・アルバイトを軽く見る店長は、必ず手痛いしっペ返しを受けることになる。

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著者紹介:宇井 義行
コロンブスのたまご 創業者・オーナー

学業のかたわら、18歳から飲食店で働きながら実践的な飲食業を学び、23~25歳で6店舗の飲食店経営を手掛け、超繁盛化。赤字店の1ヶ月での黒字化など奇跡を起こし注目を集める。 26歳の時、実践的な「飲食コンサルタント」として独立。個性的な店、地域一番店を目指し、情熱ある現場直接指導に力を注ぎ、 全国の飲食店3000店舗以上を指導。指導歴日本一のフードコンサルタントとして数多くの難問を解決。不振店を繁盛店へと生まれ変わらせる手腕は業界屈指のリーダーとして国内外で高く評価されている。