あなたのお店には、差別化のいろいろなコンセプトが込められているに違いない。商品の独自性はもちろんのこと、店舗デザインやインテリアなどで個性を演出しているだろうのありきたりの店でないことは、差別化の人事なポイントだ。
しかし、だからといって「代わりばえのしない店」ではないという保証はどこにもない。また、お客というのは飽きやすく、浮気性だ。そのため、つねにお客の目を引きつけるための何らかの手を打っていないと、いつの間にか、お客の視界からはずれてしまう。
お客はほかのお店ではやっていないサービスに、新鮮な驚きと喜びを感じるものだ。そういうお客の心理を突くのが上手な販売促進戦略で、その最も効果的な戦術がイベントである。イベントを実施することで、いつも鮮度の高い楽しさを提供することができる。
イベントは、お客の潜在需要の掘り起こし策でもある。よくあるイベントは、年四回の季節メニュー・フェアだが、これは四季の移り変わりに敏感な日本人の特性を刺激して、来店動機をつくる目的がある。
しかし、来店動機をつくることができるのなら、何も季節メニューだけにこだわることはない。「特別な日」をテーマにすればいい。「特別な日」とは、お祝いの日のことだ。お祝いの日には、暦上の祝祭日と個人的なものとがあるが、いずれにしろ外食ニーズが発生する。すでに顕在化している場合と、潜在的なニーズのまま理もれている場合との違いがあるだけだ。
たとえば、バレンタインデーやホワイトデー、クリスマスは、いまや飲食店を利用するのが当たり前になっているが、誕生日や結婚記念日となると、まだ必ずしも外食とは結びついていない。また、子供の日とか父の日、母の日なども、ニーズの掘り起こしが十分になされていない「特別な日」である。
いずれも、誰でもお祝いする気持ちはあるのだし、実際家庭ではお祝いをしているのだから、きっかけさえ与えてあげれば、きっと利用してくれるはずだ。
ところで、「特別な日」はお祝いなのだから、それぞれのお祝いにふさわしい料理やサービス、雰囲気づくりが大切である。この付加価値が高ければ高いほど、来店動機の喚起はスムーズにいく。
ここで勘違いしてはいけないポイントがある。お客はこの日に限って「安さ」に引かれて来店するのではなく、サイフのひもが緩くなるのである。客層やお店の業種、業態によるのだが、ふつうは少なくとも「安くてつまらない」よりも、「多少高くても楽しい」付加価値を求めている。したがって、商品については思い切ったアイデアを盛り込んだほうが、お客をその気にさせやすい。天フ日ぐらいはちょっとぜいたくをしてもいいだろう」という気分があるからだ。
イベントを成功させるには、とにかく早くお客に知らせることが大切だ。内容はいいのに失敗に終わるケースがよくあるが、第一の原因は告知の遅れである。最低でも一カ月前には告知しなくてはいけない。
そのためには、1年間の計画が固まっていれば理想的で、そうすれば後手に回るような失敗はない。それにイベントを打つには予算が必要だ。その意味でも、計画性がなければうまくいかない。売り上げ計画と連動させながら、いつ、どういう企画を立てれば効果的かを検討するのである。
また、イベントの趣旨によっては、対象者の性別や年齢層を絞り込むことも必要だ。バレンタインデーなら、お店から男性客にハート型のチョコレートをプレゼントするとか、子供の日には小学生以下を対象に、ゲームソフトの抽選会をやる、という具合だ。
①店内のお客の目につく場所数力所にメッセージボードなどを置き、イベント内容を書き出しておく
②顧客リストに基づいて、DM (ダイレクトメール)を出す
③駅前やお店の前でチラシを配る
④お店の外壁に垂れ幕を下げる
⑤お客に口頭で伝える
などがある。イベントの規模によって組み合わせるといい。
なお、イベントはその期間も重要で、短期間すぎては効果が薄い。最低でも二週間単位で、日曜日を二回入れる必要がある。お客もいろいろと忙しい。「来週行こうかと思っていたのに終わっていた」というのでは、かえって裏切り行為に映ってしまう。
とくに、「特別の日」をイベント化するときは、注意してほしい。「特別の日」自体はその日1日しかないわけだが、ズバリ「その日に来てください」といってもそうはいかない、クリスマス・ディナーの設定が、短くても一週間から二週間の期間が一般的なのは、そのためである。
これは、すべての「特別の日」に当てはまる。誕生日ならその月の一カ月間とか、子供の日なら二週間から一カ月間というように、余裕のあるサービス期間を設定することが大事である。なにしろ、この日は間違いなく、一人では来ない。客数が見込めるうえ、新規客の獲得にもつながる。
イベントは、顧客名簿を集めるのにも利用できる。顧客名簿を集めるには、お客に「イベントなどをぜひご案内させていただきたいものですから」などと声をかけ、名刺をもらうのがぶつうだ。女性客など名刺を持たないお客のために、顧客カードを用意しているお店も多いが、最近のお客はプライバシーに対して敏感になっているから、なかなか教えてくれない。
それなら、顧客名簿を集めるためのイベントを打つ手もあるの住所。氏名を書いてもらえるだけの価値のあるイベントである。そして、たとえば顧客カードに記入してくれたら、次回の来店時に10%引きにするとか、もう一度(以上)このお店を使おうと思うから、名簿に載ってもいいと考えるのだ。